介護状態になってしまう原因と初期症状。生活の中での注意点について

 

世界一の長寿国である日本では、近年は元気でいられる年齢もどんどん伸びてきています。

平均寿命が60代だった時代と比べると、今は60代は余裕で元気な方ばかり。

自分や家族の介護がまだ先の話しのように感じている方も多いかもしれません。

でも、寿命が長いということはつまり高齢期が長いということ。

例えば認知症などを発症した場合でも、今はサポート体制も医療技術も進歩しているから、だんだん悪化しながらも長く生活することができます。

逆にいうと、周りの介護者のサポートの手がたくさん要るということです。

今回は、介護状態になる原因と、生活の中での要注意の兆候、家族がどのように行動すべきかといったことをご紹介します。

介護が必要になる状況とは

自分もしくは家族が介護を必要とする状況になることを想像したことはありますか。

おじいちゃん、おばあちゃんが車椅子に座って家族や支援員さんに押してもらっている、

そんな場面をよく見かける方も多いと思いますが、これも介護の1つです。

そもそも介護が必要な人とはどんな状態の人かというと、様々な定義はあるのですが、

「歳をとって身体の機能が低下したり身体障害があることで、日常生活に援助が必要な状態の人」

のことを指します。

要介護認定とは

日本には介護保険法という法律があります。

この制度によって、介護サービスを必要としている人は、必要とするサポートの程度に合わせたサービスを受けることができるのです。

その「必要とするサポートの程度」とは、介護度と呼ばれる介護を必要とする身体の状態を表す指標で評価されます。

介護度は、介護を必要とする段階の一歩手前の予防の段階である「要支援1・2」から、確実に介護が必要ですよという段階である「要介護1~5」と全部で7つの段階にわかれています。

介護認定は、食事やトイレに行く、お風呂に入るなど、それらにどれだけの時間サポートが必要かという観点から評価されます。

具体的にはこちらについての介護や援助。

  • 直接生活介助:入浴、排せつ、食事等の介護
  • 間接生活介助:洗濯、掃除等の家事援助
  • 問題行動関連行為:徘徊に関する探索、不潔な行為に関する後始末等
  • 機能訓練関連行為:歩行訓練、日常生活訓練等日常生活訓練等の機能訓練
  • 医療関連行為:輸液(点滴)の管理、じょくそうの処置等の診療の補助等

直接生活介助といわれる、自分が生きるうえで必要な入浴、トイレ、食事の介護、

間接生活介助といわれる、いわゆる家事に該当する掃除や洗濯の援助、

その他、例えば認知障害の進行から徘徊してしまう時の探索や、不潔な行為をしてしまったときの後始末などは問題行動関連行為に分類されます。

不潔な行為とは、想像がつかないとは思いますが、例えばこれも認知障害の影響で、便器の中に手を入れたり、失禁した大便をいじりまわすといった行為のことです。

また、麻痺やケガ、身体機能の低下などによる歩行訓練や機能訓練の必要性、

そして、自宅でも点滴が必要な人の点滴の管理や、寝たきりの人に問題となるケースの多いじょくそうへの対応など。

じょくそうとは床ずれとも言いますが、寝たきりの生活などで、一番体重で圧迫を受ける身体の箇所の血流が悪くなったり滞ることで、皮膚の一部が赤い色味をおびたり、ただれたり、傷ができてしまうことです。

これらが、それぞれ1日にうちどのくらいの時間サポートを要するかということで、こちらのように時間で介護度がわかれてきます。

  • 要支援1:25分以上32分未満である状態またはこれに相当すると認められる状態
  • 要支援2:要支援状態のうち32分以上50分未満である状態またはこれに相当すると認められる状態
  • 要介護1: 32分以上50分未満である状態またはこれに相当すると認められる状態
  • 要介護2:50分以上70分未満である状態またはこれに相当すると認められる状態
  • 要介護3:70分以上90分未満である状態またはこれに相当すると認められる状態
  • 要介護4:90分以上110分未満である状態またはこれに相当すると認められる状態
  • 要介護5:110分以上ある状態またはこれに相当すると認められる状態

とはいえ、介護度の評価は、身体の状態はもちろん生活の状態も踏まえて判断されます。

実際の認定の手順はこちらに書きましたのでご参考に。

要介護になる人が増えている

最近は高齢者の人数がどんどん増えてきていて、寿命も伸びています。

人は高齢になるほど身体の機能が衰えますので、必然的に要介護の認定を受ける人が増えるのです。

厚生労働省の国民生活基礎調査ではこちらのような統計が出ています。

出典:厚生労働省「国民生活基礎調査」平成25年

2010年度と比べると2014年度は、特に要支援1や要介護1が増えています。

認知症は要介護認定の原因の1つ

要介護とセットでよく耳にするのが「認知症」

みなさんよくご存じかとも思いますが。

恒例になると認知機能の低下から、認知症になる人が多くいます。

そして、認知症は介護認定を受ける原因の1つとして有名です。

こちらのグラフは、平成25年度の要介護認定の原因についての調査結果です。

脳血管疾患に次いで認知症が第2位でした。

出典:厚生労働省「国民生活基礎調査」平成25年

 

では、認知症について軽く紹介しましょう。

認知症の基本

認知症は精神障害の1つです。

厚生労働省によると、認知症とは、

生後いったん正常に発達した種々の精神機能が慢性的に減退・消失することで、日常生活・社会生活を営めない状態

厚生労働省より

のこと。

また、認知症ねっとによると

いろいろな原因で脳の細胞が死んでしまったり、働きが悪くなったりしたためにさまざまな障害が起こり、生活するうえで支障が出ている状態のこと

認知症ねっとより

を指します。

なんだかよくわかりませんよね。

実は認知症とは病気の名前ではありません

認知症は病名ではない

認知症は病気のことと思われているかもしれません。

でも病名ではなく、まだ病名が決まっていない“症候群”の状態をあらわします。

つまり医学的には、まだ診断が決められず、原因もはっきりしていない状態のことを表しています。

まあわかりにくいとは思いますが。

認知する機能に障害をきたしている状態です。

記憶したり注意したりする力が衰えているということ。

認知症の種類

認知症にはつぎの3種類があります。

  • アルツハイマー型認知症
  • 脳血管性認知症
  • レビー小体型認知症

一番多いのがアルツハイマー型認知症です。

出典:認知症オンライン「認知症の症状と種類 押さえておきたい基礎知識」

認知症の症状は、中核症状周辺症状にわかれます。

中核症状は主な症状で、記憶障害や見当識障害、理解・判断力の障害、実行機能障害、失語・失認識・失行があげられます。

一方、周辺症状としては、不安や抑うつ、徘徊、幻覚・錯覚、暴力・暴言、異食、睡眠障害、せん妄、妄想、帰宅願望、介護拒否、失禁・弄便があげられます。

出典:認知症ねっと「認知症とは?原因・症状・対処法から予防まで」

認知症の種類別に症状をみてみましょう。

アルツハイマー型認知症の症状は、

  • 知機能障害(もの忘れ等)
  • もの盗られ妄想
  • 徘徊
  • とりつくろい

など。

脳血管性認知症の症状は、

  • 認知機能障害(まだら認知症)
  • 手足のしびれ・麻痺
  • 感情のコントロールがうまくいかない

など。

レビー小体型認知症の症状は、

  • 認知機能障害(注意力・視覚等)
  • 認知の変動
  • 幻視・妄想
  • うつ状態
  • パーキンソン症状
  • 睡眠時の異常言動
  • 自律神経症状

などです。

これらの症状は生活のあらゆる場面からキャッチすることができます

具体的な状態を知ることで、普段の生活の中で、家族の認知症の兆候を察知することができ、早めの対策を立てることにつながるでしょう。

認知症の兆候

次に紹介する行動が認知症の兆候です。

ご自身に、またはご家族にこのような症状がみられませんか。

  • 同じ行動をくりかえす
  • 食欲過多、味覚の異常
  • 集中力・自発性の低下
  • 反社会的な行動
  • 言葉が出てこない

詳しくみてみましょう。

同じ行動をくりかえす

一人で脈略のない言葉をしゃべりそれを繰り返したり、ある特定の時間に部屋中をうろうろと落ち着きなく歩き回ったり、はた目にも異常とも感じ取れる行動をします。

同じ行動を繰り返すことを「常同行動」といいます。

その他にも、毎日同じ時間に同じ道順で散歩する、毎日同じメニューを作る、どんなに量が多い食べ物でもなくなるまで食べ続ける、特定の時間に決めている行動を取らないと気がすまないなどがあります。

食欲過多・味覚の異常

ずっと同じものを異常に食べ続けたり、時には冷蔵庫の中のものを全て食べてしまうといった食欲過多になります。

また、味の濃いものを好むようになり、甘いものやしょっぱいものを大量に食べたり、味覚の異常もみられます。

料理をしても味付けが濃くなることがあります。

こういった食事行動の変化は、生活習慣病などにつながります。

管理の方法としては、

  • 食材を目に付くところに置かないようにする
  • 食べ過ぎている状態ながば気をそらす
  • 食事時間を決める

このような工夫が有効です。

集中力・自発性の低下

そわそわしてテレビを最後まで見られない、会話が長続きせず途中で急に席を立つなど、集中力の低下がみられます。

また物事へのやる気が低下し、否定的な発言が多くなったり、家事をしなくなったり、質問しても適当に答え真剣に考えない様子があったりします。

精神状態は服の乱れにも現れます。

自分の服の状態を気にしなくなり、例えばシワシワの服でも気にせず、同じ服を連日着ていても平気になります。

意欲が低下すると、ぼーっとしたり部屋のなかを短調にうろうろしたり、そのうち外出しなくなります。

反社会的行動

抑制が効かなくなり、本能のままに行動するようになります。

人に対して遠慮がなくなり、マナーに反する行動をとったり、暴力をふるう、社会性がなくなる、悪ふざけが激化するなどがみられます。

また、ひどくなると万引や痴漢行為など反社会的な行動にも発展したりします。

高齢の万引きが多いのは、認知症の影響があるからかもしれません。

でも道徳観が低下しているため、本人には罪悪感が全くありません

だから、反社会的な行動に対して人に注意されるなどすると、キレて暴力に及んでしまうこともあるのです

怒りっぽくなるのも認知症の影響の1つというわけです。

言葉が出てこない

会話が上手にできなくなります。

具体的には、知っているはずの言葉の意味が分からなくなって、物の名前や言葉が出にくくなります。

文字を読み間違うこともあります。

また、人やまわりの影響を受けやすくなります。

人の言葉をそのままおうむ返しに繰り返したり、動作をマネする、同じ言葉を言い続けるといったことがあげられます。

苦手意識が生じて無口になったりもします。

兆候を知ることで事前の準備

以前と比べて同じ話しが多かったり、口数が少なくなったり、感情の起伏が激しくなったり、身だしなみに注意がいかなくなったり等が見られたら、それは認知症の兆候かもしれません。

自分で気づくのはなかなか難しいですが、家族や周囲がこれらの行動に気づけば、相応の対応の仕方があるはずです。

いずれ何かしらの支援が必要になるだろうことを事前に頭に入れておくなどの準備もできます。

介護保険や介護認定といった支援の制度についても、事前に知識を深めておけますよね。

おわりに

今回は、要介護認定の原因の第2位である認知症について、認知症の兆候をご紹介しました。

もしも年長のご家族が、急に怒りっぽくなったり理解力が低下している、会話が成立しない、よくわからない行動をとっている等の様子があって、コミュニケーションが上手く行かないなどの問題があるようでしたら、それはもしかしたら認知症の症状の1つかもしれません。

その場合は、今後の生活を上手に送るための支援を考えたりしていく必要が生まれてきます。

まずはご自身や家族の状態を知ることが、将来の生活を考える第1歩です。

私は30代ですが、同じく若い世代にこのような知識をつけていただきたいなと思います。

どのようなサポートサービスがあるかについては別の記事でご紹介しましょう。

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