しばらくお通じがない、

トイレに行っても便が硬くて辛い、

出ているのにお腹に残っている感じがする、

便秘にはいろいろ種類があり定義もいくつかありますが、おおざっぱにいうと、便通について困っていれば便秘です。

そんな便秘症、実は症状によっては、隠れている病気があるかもしれないのです。

今回は、便秘の診断と併発しやすい病気とその症状について紹介していきます!

便秘で受診を考える

便秘の定義はいくつかありますが、ものすごく簡単にまとめると、

  • 便が出にくくて、お腹に溜まった状態が続いて苦しい時
  • 排便があっても出きった感がない時

このような状態の時。

職業柄、トイレに行くタイミングが自分の思い通りにならないケースや、食事や睡眠時間が不規則になりやすい生活をしている方は便秘になりやすいです。

これは私個人の印象ですが…

  • 便秘がひどくいつもお腹が張ってる&苦しい
  • 1週間は余裕で出ない
  • 出てもコロコロうさぎのうんち
  • 服用するタイプの便秘薬は効果なし
  • 浣腸も量が少ないタイプは効果なし
  • 一番薬剤の量が多いタイプの浣腸でやっとコロコロうさぎうんち
  • 食事を気をつけても全然だめ

この症状はちょっと重症ですが、少しでも近いと感じた方は即刻便秘外来を受診してお通じの改善を考えてください。

もしかしたら便秘と他の病気が合併している可能性もあるからです。

便秘を合併する病気

便秘を合併する疾患、つまりその病気があると便秘になる可能性がある病気や状態がこちら。

便秘だとなるかもしれない病気ではないのでご注意。

  • 大腸ポリープ
  • 大腸がん
  • 子宮内膜症
  • 子宮筋腫
  • 過敏性腸症候群
  • 自律神経失調症
  • 潰瘍性大腸炎
  • 大腸憩室症
  • クローン病
  • 膠原病
  • 手術後の癒着
  • 胃酸過多
  • 胃潰瘍
  • 十二指腸潰瘍
  • 糖尿病
  • 甲状腺機能低下症
  • 高カルシウム血症
  • 低カリウム血症
  • 尿毒症
  • アミロイドーシス
  • 強皮症
  • パーキンソン病
  • うつ病
  • 脊髄損傷
  • 脳血管障害
  • 多発性硬化症
  • 排尿障害
  • 透析患者
  • 関節リウマチ
  • 帯状疱疹
  • 経管栄養の方
  • 統合失調症
  • 妊娠中の方

他にもあると思いますが、よく紹介される主なものがこちらですね。

なお、私は医師免許は持っていませんので、あくまでも文献から得た情報になります。

過不足はご容赦くださいませ。

副作用で便秘になりやすい薬剤

病気が便秘の原因であるケースの他に、服用している薬が便秘の原因になっているケースもあります。

薬の副作用で便秘になりやすいですよとされているものです。

  • 糖尿病薬
  • 高コレステロール薬
  • 骨粗鬆症薬
  • 抗うつ剤
  • 抗てんかん薬
  • 統合失調治療薬
  • 抗パーキンソン病治療薬
  • 多発性硬化症予防薬
  • ミオクローヌス治療薬
  • 神経障害性疼痛治療薬
  • 認知症治療薬
  • 睡眠薬
  • 降圧剤
  • 抗不整脈薬
  • 抗がん剤
  • 分子標的薬
  • モルヒネ系
  • 制吐剤
  • 抗アレルギー薬
  • 咳止め薬
  • 不整脈用剤
  • カルシウム拮抗薬
  • 鎮痙剤
  • 抗生物質製剤

薬は、薬剤の名前(成分)と薬の商品名が異なりますが、処方される薬の副作用については医師から十分に説明がありますので、ご確認ください。

なお、市販の薬で、医療従事者の説明なしで買えてしまう薬としては、風邪薬・鎮痛剤に要注意。

ご存じの方もいらっしゃるはずの抗ヒスタミンという成分、これが便秘を起こしやすい成分なのです。

便秘の裏に隠れている可能性のある疾患

ここまで、病気だったら・この薬を飲んでいたら便秘になりやすいかもというものをご紹介しました。

今度は、便秘症状が続いていたら、もしかしたらこの病気の可能性がある!というものを紹介します。

下記の疾患は、便秘ではなく他の症状から発覚する場合もあり、そういえば便秘症状も続いていたということがあります。

  症状 疑われる病気名
腹痛あり  便秘や下痢が数カ月以上続く、排便すると落ち着く 過敏性腸症候群
周期的に起こる強い腹痛、腹部膨満・膨隆、吐き気、嘔吐 腸閉塞
下痢、軟便、腹痛、発熱、血便 大腸憩室症
血便、便が細くなる、残便感 大腸がん、直腸がん
頑固な便秘、腹部膨満、嘔吐 巨大結腸症
腹部膨満感、下腹部痛、不正性器出血、頻尿 卵巣腫瘍
下腹部痛、発熱、吐き気、嘔吐、下痢 骨盤腹膜炎
レイノー現象、皮膚が硬くなる、嚥下障害、咳、息切れ、関節痛 全身性強皮症
腹痛なし 肩こり、上肢の痛み・脱力感、手指の感覚異常、歩行障害 頸椎症
背部痛、手足の痛み・感覚鈍麻、歩行障害 脊髄の腫瘍
汗をかかない、寒がり、皮膚の乾燥、脱毛、顔のむくみ、かすれ声 甲状腺機能低下症
高血圧、頭痛、発汗過多、動悸、やせ、胸痛、視力障害 褐色細胞腫
脱力感、筋力低下、吐き気、嘔吐、多尿、多飲 低カリウム血症
排便に伴う肛門の痛み、出血 裂肛
倦怠感、めまい、動悸、頭痛、息切れ、肩こり、下痢 本態性低血圧症

常習便秘 :食事量・食物繊維の摂取不足、運動不足、排便の意識的抑制、旅行などによる排便習慣の変化、環境の変化、ストレスなど

これは、40~69歳の男女約6万人を1993年から約7年間追跡して、排便の回数や状態とがんの発症について、それぞれに関連があるかを調べたものでした。

なお、大腸がんについては、大規模研究の結果から、便秘症状と大腸がんとは関連がなかったという、これまでの学説とは異なる見解が報告されています。

結果、排便が週に2~3回の人も、日に2回以上の人も、毎日1回の規則的な人と比べてがんの発症の危険度に差はなかったというのです。

出典:国立がん研究センター 予防医学研究グループ「便通、便の状態と大腸がん罹患との関連について」

グラフ中のハザード比というのが、「リスクの比率」のことです。

毎日1回排便がある人が大腸がんになる確率を1とした時のリスクです。

この研究結果はこれまで当たり前だった学説を覆すものでした。

でも注意が必要なのは排便の回数ではなく便秘の症状

次の症状の場合は大腸がんで出やすい症状ですのでご注意を。

  • 5年前までは毎日でていたのが最近は3日に1回になったなど、便の習慣が変わってきたとき
  • 以前はあまりお腹が痛くならなかったのに、最近はトイレへ行く前後に1時間痛む
  • 便秘と下痢が交互に起きる(便通異常)

実際、便秘に関する研究は実は多くないのが現状です。

排便回数だけで便秘を定義することができないからです。

というわけで、上記に示した症状があてはまると感じた方はすぐに医療機関を受診しましょう。

問題の便秘薬への依存

といっても、便秘で悩む人の多くは市販の便秘薬でなんとかしようという傾向がほとんどです。

民間調査会社の富士経済(東京・中央)によると、便秘薬などの腸内環境の改善をうたう大衆薬市場は約340億円

ドラッグストアの「ハックドラッグ」では、1店舗につき1日平均10個の便秘薬や整腸薬が売れるそうです。

便秘薬はなるべく使わないほうが良いといいますが、それは常習性の怖さから。

便秘薬が習慣化すると、麻薬やドラッグと同じく、量を増やさないと効果がなくなってしまうのです。

たまに便秘薬に頼るのはOKですが、毎回便秘薬を使って排便するのは絶対にNG。

忙しくて病院に行けないという方、受診時間なんていくらでも作れます。

土日に診療やっている病院も、遅い時間までやっている病院も今はあります。

便秘もれっきとした病気

慢性的な便秘でお困りの方は、まずは症状と病院で診断の際に参考にされることを事前に予習しましょう。

便秘で受診

さて、便秘で困ったときは便秘外来を受診しましょう。

人気の病院ですと、なんと診察に6年待ちなどもあるそうな…

それだけ需要が増えているということですが、お困りの方はぜひお近くの医療機関を探して早めに受診しましょう。

病院で行うことは

便秘外来を受診すると行うことは、

  • 便秘がどんな状態か問診で探る
  • お腹を触って張りや腸の動きなどをチェック
  • 便をとって便の状態を検査

だいたい大まかにこちらの3つです。

便の検査は、健康診断の時の”検便”と一緒。

ただの健康診断と異なるのは、便から検査する項目が多いということ。

まずは問診・聴診・触診

医師はまず問診をします。

  • 排便の状態や
  • 身体の状態
  • 症状がどの頻度でどのくらい起こるか
  • 食事や睡眠・運動などの生活習慣
  • これまでかかった病気や服用している薬のこと

など、排便と今の生活環境について詳しく聞かれます。

そのあと聴診で腸の動きや音を調べます。

そして触診で腹部のしこりなどを調べます。

この時点で、便秘が他の病気が原因である可能性があると判断された場合、生理学的な検査が実施されます。

便の状態については、「ブリストルの便形状尺度が用いられます。

それがこちら。

出典:排泄ケアナビ「消化・吸収のメカニズム」

このスケールから、便の状態を7段階でチェックします。

このうち、硬便とされるのは1と2の便の形状です。

また、排便時間についても診断する上での尺度があります。

排便の時間は、トイレに座っている時間として点数化されます。

それがこちら。

排便時間のスコア

スコア0

5分以内

スコア1

6~10分

スコア2

11~20分

スコア3

21~30分

スコア4

30分以上

出典:Medical Note 「便秘症の診断のポイント-がんなどの背後に隠れている疾患を見逃さない」

トイレに入って5分以内で用を足して出てくればスコアは0、

30分以上かかればスコアは4、

トイレに座っている時間が長いほど、スコアは悪くなります。

便秘における危険信号

なお、こちらはエビデンスがあるわけではありませんが、便秘外来の専門医師が診断の際に注目しているポイントです。

  • 半年で5kg以上の体重減少
  • 便に血液が混じる
  • 鉄欠乏性貧血
  • 50歳以上での突然の便通変化
  • 治療に反応しない
  • 腹痛が持続する
  • 大腸がんの家族歴

便秘で受診して、このような状態であれば、病気の可能性があると判断され精密検査へGOです。

病気が疑わしかったら精密検査

念のため検査しましょうというパターンもありますが、精密検査はこのようなものがあります。

  • 便潜血反応の検査:便を採り、便の中の血液の有無を調べる
  • 血液検査:虫垂炎などの炎症や全身の病気を調べる
  • 腹部単純X線検査:腸内の便やガスのたまり具合などを調べる
  • 注腸造影検査:肛門からバリウムを入れて腸のX線写真を撮り、がんやポリープなどの影を調べる
  • 内視鏡検査:肛門から腸に細い管状のスコープを入れ、大腸内を肉眼で見る

検査結果が後日出て、問題なければ便秘の状態に合わせた生活指導薬の処方がされます。

もしも病気の場合は、別の医療機関を紹介される運びとなります。

つまり、便秘から重大な病気が判明するかもしれないということですね。

たかが便秘と甘く見ないで、今回ご紹介したスケールなどを参考に、ご自身の症状と比べてみてはいかがでしょうか。

おわりに

今回は、便秘と合併する病気、受診した際の診察手順についてお話ししました。

便秘で受診しても残念ながら医療費の補助などはありませんが、もしかしたら一生に関わる病気の可能性も0ではないこと、ご理解いただけましたでしょうか。

ひどい便秘の方、便秘薬常用者の方、まずは一度医療機関を受診してみてはいかがでしょうか。

同時に、便秘になっている原因を突き止めることで、問題の生活習慣もわかりますよね。

そうすると他の身体の不調も改善されるかもしれませんよ。

腸の環境改善は全身の健康につながります。

便は体内のゴミ、これを機に一掃しましょう。