夏場・冬場に流行しやすい感染症。

感染症というと何を思い浮かべますか。

インフルエンザ・ノロウイルス・風邪・O157…

病原微生物が人へ感染し、さまざまな症状を引き起こすものを総称して感染症といいますよね。

そして感染症にはそれぞれうつり方があります。

よく知られる感染症の特徴とともに、感染する条件を知っておくと、流行時期には事前の予防ができたり、罹った時も慌てずに済みますよ。

今回は感染症が感染する条件と予防対策法についてご紹介します。

感染症が感染する条件とよく知られる感染症

感染症とは、その名の通りですが、人から人へ病原微生物が移動して病気を発症させていく病気の総称。

そして感染が成り立つためには3つの条件があります。

そもそも感染症が感染する条件

隣の人が感染症にかかったからといって、ちょっと肩が触れたとか、それだけでは当然ながらうつりません。

その地域である感染症が流行っているからといって、感染者に出くわさなかぎり当然うつりません。

これは、公衆衛生関連のテキストの一番最初に書かれていることですが、感染する条件とは、

  • 感染源がある
  • 感染源から感染経路を通じて伝播する
  • 感受性のある人(宿主(しゅくしゅ))が存在する

3つの条件全てが揃って初めて感染症が人から人へと感染するのです。

感染源と感受性宿主

感染源とは、感染症に罹っている人や、病原微生物によって汚染されたものなどのことです。

例えば、感染している人のくしゃみを介して直接うつる場合、感染源は感染者のくしゃみ。

嘔吐物や下痢を介して感染する感染症の場合、例えば嘔吐した後の掃除を適切にせず、病原微生物が残ったままの室内から、それを触った別の人が口元を触ることで感染。

この場合は、嘔吐物が付着した室内が感染源ですね。

そして、ここにきて初めて耳にした方も多いと思われる”宿主(しゅくしゅ)”

宿主とは、その名のとおり感染者のこと

感染するというのは、病原微生物が体内に入って悪さをすること。

熱が出たり発疹が出たりなどが”発症”といいます。

が、人によって免疫力の強さはさまざまです。

同じ感染症に感染しても、大した症状が出ない人もいれば、重症化してしまう人もいます。

このうち、免疫力の弱く感染しやすい状態の人を感受性宿主とよびます。

子供や高齢者は免疫力が強くないため、一度感染したときにひどくなりやすいのです。

感染経路が成立して感染

感染経路を通じて伝播するとは

  • 飛沫感染
  • 空気感染
  • 接触感染
  • 経口感染

のいずれかの経路を通じて原因である感染症の病原微生物等が移動すること。

飛沫感染・空気感染・接触感染・経口感染とはそれぞれこういうことです。

出典:平成28年度 プール衛生講習会「プールで感染するおそれのある 感染症とその予防」多摩小平保健所 保健対策課 感染症対策担当

このうち、空気感染と飛沫感染は似ているように感じるかと思います。

どちらも、咳やくしゃみで飛散した病原微生物を吸い込むことで感染します。

違いは、空中に飛散した病原微生物が水分を含んでいるか否か

空中に長い時間浮遊する=空気感染するものは、水分が含まれていません。

したがって、病原微生物そのものが軽い状態で空中にいられるのです。

空気感染するような感染症は、現代では予防接種が義務化されていて、日本国内における感染者は少ないです。

予防接種の状況についてはこちらもご参考に。

空気感染とは、空中に漂い続けて、風などが吹いて周辺に飛んでいき、見えない病原微生物が口から感染に必要な量入るだけで感染。

図の中に例が出ている麻しん・水痘・結核は、特に病院内などでアウトブレイクが起きないよう、ものすごく意識高く対策がたてられています。

よく知られる感染症の感染経路

麻しんは合併症に肺炎や脳炎があります。

麻しん自体もそうですが、合併症のリスクも怖いですよね。

一方で、感染力の高いインフルエンザ・流行性耳下腺炎・ノロウイルスなどは、飛沫感染・接触感染・経口感染とよばれる感染経路からうつるもので、流行時期には集団感染などが各地で問題になります。

昨年2016年―2017年シーズンでも、特にこどもの間でヘルパンギーナ流行性耳下腺炎インフルエンザも多く発生しました。

ヘルパンギーナとはいわゆる夏風邪、流行性耳下腺炎とはおたふくかぜのことです。

ヘルパンギーナ・流行性耳下腺炎・インフルエンザは共通して感染経路が飛沫感染・接触感染。

ヘルパンギーナについては、経口感染もあります。

年間で流行しやすい感染症一覧はこちらをご覧ください。

今シーズンも流行しやすい感染症には要注意です。

予防方法は感染条件を成立させないこと

感染症が感染するための条件と、感染経路についてご理解いただけましたでしょうか。

昨年シーズンに流行し、メディアでよく話題となっていた感染症についても、うつり方を学べば今シーズンは予防対策ができますよね。

感染症を予防する方法はかんたんです。

先ほどご紹介した感染症が感染するための3つの条件を1つでもいいから成立させないようにすることです。

つまり、

  • 感染源を絶つ
  • 感染経路を遮断する
  • 免疫力を高め感染しないようにする

具体的にみていくと、

感染源を絶つ

そのままの意味ですが、感染源つまり感染者や感染者の体内にいる病原微生物を絶つということ。

具体的には、

  • 感染者に近づかない
  • 病原微生物が付着していそうな場所は清掃
  • 病原微生物が付着していそうな手はこまめに洗う

感染者に近づかないことはもちろんです。

でも実際は、どこに感染者がいるかわからない状況のほうが多いと思います。

だから、感染者の病原微生物がくっついていそうな場所、例えばドアノブやお手洗いで誰もが触れるペーパー付近・便座・水回りなど。

このようなものには直接触れないようにするか、綺麗に清掃してから触れるようにすることが大事です。

少し前の時代まで、日本では公共のお手洗いには、共用のお手拭きタオルが設置してあり、皆がそれを順々に使っていましたよね。

お手拭きタオルを設置してくれているなんて丁寧なサービスだと、家でも共用で使っているタオルがあるし疑問に思う方も少なかったのではないでしょうか。

でもあれ、衛生面を考慮するとものすごく不潔なのです。

ご家庭で使う共用タオルは、お互いの体調などをお互いがよく理解したうえで使っているのでいいとして、公共の場にある布製のタオルは誰がどんなふうに使っているかわかりません。

ある研究で、共用の布タオルは菌がものすごく多いと証明され、一斉に廃止になったのです。

今はあっても紙の使い捨てタオルか、風圧で乾かすハンドドライヤーが設置されていますよね。

トイレ内の外蓋も、上からペーパーで覆ってから使えるようにしているトイレもあります。

こちらは、公共のトイレ内における感染源を絶つための工夫ですが、自分でできる方法としては、手動で開くドアノブなどは、触れたあとは手洗いする・ウエットティッシュでドアノブを覆ってから触れるなど工夫できると思います。

やりすぎといわれるかもしれませんが、これが感染源を絶つということ。

感染経路を遮断する

これが感染管理で最も重要視している予防法であり・拡大防止策です。

感染症が感染するルートをなくしてしまえば、感染がおこることはありませんよね。

たとえば、飛沫感染する感染症が流行っている時期であれば、

  • 通勤・通学時など人ごみに出る際は、感染者がうっかり目の前でくしゃみや咳をすることを想定しマスクをする
  • 感染してしまった、または感染したかもしれない症状の時は早めに他の人に感染させないようマスクをする
  • マスクを忘れたら、咳・くしゃみのムズムズがきたらティッシュで覆って飛散しないようにする
  • ティッシュがすぐに出ないようなら、二の腕でガードして飛散しないようにする
  • 人ごみから帰宅した際・食事の前・料理をする前などは必ずうがい・手洗いする

咳やくしゃみの際には、ついつい手で口をおおってしまうと思います。

でも、手で覆ったら手につきますよね。

その手を洗おうにも拭こうにも、手を使ってバッグから取り出したり蛇口をひねったりしなければならない。

触れた場所に病原微生物が付着してしまうのです。

その場所を他の人が触れて…となると、これは接触感染のリスクが高まります。

だから、当然のマナーのようになっている口を手の平で覆ってくしゃみ・咳はNG

むずむずしたらティッシュか二の腕と覚えておきましょう。

ハンカチもすぐに洗えませんので、可能ならすぐに捨てられるティッシュが良いでしょう。

次に接触感染の具体例をご紹介しましょう。

接触感染をする代表的な感染症はノロウイルスですね。

ノロウイルスとは感染性胃腸炎という名前の病気を発症する原因のウイルス。

詳しくはこちらをご参照ください。

感染性胃腸炎の原因になる病原微生物はウイルスと細菌と2種類あります。

それぞれ、咳やくしゃみからうつることはなく、感染者の嘔吐や下痢が飛散した場所に触れ、口に入ってしまった場合に関せんします。

目の前で嘔吐して、そのまま飛び散った病原微生物が口に入ってしまったケースは、経口感染といいます。

接触感染を防ぐ方法は、飛散したと疑われる場所をひたすら消毒もしくは加熱殺菌

塩素系の消毒薬またはアルコール系の消毒薬を使ってシュッシュとやった後、薬剤を拭きとるか、80℃以上の高温でグツグツやるか。

お近くのドラッグストアに行けば置いているはずですが、今すぐという時の代用としては、キッチン用の除菌スプレー

これはアルコール系ですが、そのままシュッシュとやれば30秒ほどでウイルスはほぼ死滅するとのこと。

衣類や家具、ドアなども同じく、加熱殺菌できないものは消毒薬で対応しましょう。

水拭きだけだとどうなるかというと…

ウイルスは水では死にません。

空気の入れ替えなどをしているうちにだんだんと空中に飛んで散り散りになると思いますが、しばらくはその場で元気よく生きています。

その他、接触感染をする他の感染症についても、それぞれ固有の対策はありますが、例えばノロウイルスの接触感染を防ぐ方法はご理解いただけましたか。

では最後、空気感染の感染経路遮断について。

空気感染しちゃう感染症は、手立ては1択。

感染者を隔離する他ありません。

そして、周辺の人全員マスクが必須。

空中に浮遊している病原微生物を吸い込まないことが感染経路の遮断になります。

インフルエンザは飛沫感染とされていますが、実は空気感染もしているのではないかともいわれています。

が、これは最新研究等は調査しきれておりませんので何ともいえず。

免疫力を高め感染しないようにする

感染しない方法としてこれが最強と思われるものが、そもそも感染しても発症に至らないよう体を強くすること。

感染した人と同じ場所にいるのに自分は平気だったとか、同じくかかったけれども症状が軽かったとか、人によって症状が出る・出ない、症状が出ても重い・軽いの度合いが異なりますよね。

それは、体内に入った病原微生物の量が異なるからかもしれませんが、免疫力の高い人は症状も軽く、あるいはかからないで済むケースが多いです。

免疫力を高める、つまり健康な状態を維持するということです。

  • 疲れをためない
  • ストレスをためない
  • 食事はバランスよく
  • 規則正しい生活を
  • しっかり睡眠をとる
  • 適度に運動もする

健康の3要素は、食事・睡眠・運動ですが、現代ではストレスを上手に発散することもメンタルヘルスを向上させるうえで大事なことだと思います。

中には年間をとおして体調が悪い日が多く、薬を常備しながら生活しているという方も少なくないのでは?

そういう状態の生活は、あなたの身体に適した生活スタイルではないかもしれません。

オーバーワーク状態になっているのかもしれませんよ。

はっと気づいた方は、ぜひ免疫力アップのための意識を少しお持ちいただくと良いかもしれません。

免疫力に関連する記事はこちらもご参考に。

日常でできる感染予防

さて、ここまで感染症が感染する条件と感染経路の遮断についてご紹介しました。

では、普段気を付けられる感染予防とはどんなものがあるでしょうか。

皆さん当たり前のようにご存じかとは思いますが、

  • 咳エチケット
  • 手洗い・うがい

この2つに尽きます。

咳エチケット

特に飛沫感染を防ぐ手段として有効なのが、口からの飛散をさせない方法です。

このように咳やくしゃみから飛散することを避ける方法を咳エチケットと呼びます。

出典:厚生労働省HP 国立感染症研究所「咳エチケットポスター」

手洗い・うがい

つぎに手洗い・うがい。

手洗いは、水でちゃっちゃっとやるだけの方、泡立てばOKにしてしまっている方は要注意です。

案外汚れは落ちていないものです。

衛生的な手洗いの方法はこちら。

出典:厚生労働省「手洗いの手順リーフレット」

すごく細かく見えるので簡略化して述べると、

  • 手のひら
  • 手の甲
  • 指の間
  • 指先
  • 手首

この順に泡立てて水で流す。

2回繰り返せばなおよい、ということです。

公共の場や感染症が流行っている場所では、さらに消毒スプレーをするとなおよいです。

ではここで、手洗いについて少し豆知識を。

ひと昔前では、感染予防のため手術前はたわしでゴシゴシ手洗いをしていました。

でも逆にこれはやりすぎ。

手についた傷口が感染源になるとのことから、正しい手洗い方法が考えられるようになったのです。

衛生仮説といって、人が免疫力を獲得していく過程で必ず病原微生物に触れていくことが必須で、例えば幼少期にたくさんの病原微生物が体内に入った子ほど体が強くなるという考え方があります。

ずっと室内で暮らしている人がいまいち体が強くない印象があるのは、やはりそういうことなのではないかと思っているわけです。

だから私は、重い症状につながる危険がある感染症には注意するものの、極端すぎる潔癖は不要なのではないかと思っています。

もちろん、今回ご紹介している感染症は予防必須・発症したら拡大防止が必須です。

ちょっと反れてしまいました。

では、うがいについて。

うがいは、特に感染症が流行しているときは有効です。

うがい薬を使うほど神経を使ってもまあOKです。

でも、例えば風邪をひいたときなどで、喉の調子が悪い時はうがい薬を使わないほうが良いでしょう。

自己治癒能力が働いているところに、うがい薬を使ってしまうと回復にがんばっている喉の粘膜が無力化しかねないためです。

調子の良くない日は、水かぬるま湯でうがいしましょう。

おわりに

今回は、感染症の感染の仕方と予防の一番ベースになる初歩の初歩になる考え方をご紹介しました。

感染症は感染経路を知ることが予防にも拡大防止にもつながります。

知識があれば、ありえない感染の仕方がわかりますので焦ることはありません。

感染性胃腸炎の人が近くにいたとしても、咳やくしゃみではうつらないと知っていれば安心です。

感染者の人を上手にサポートするためには、マスクをして、下痢などしてしまったときは消毒を心がければよいのです。

実際、嘔吐・下痢の後始末は恐ろしく大変です。

ですが、対処法さえ知っていればそれ以上感染させることなくケリをつけられます。

これから夏を終えて冬にかけてまた感染症の流行時期がきます。

今回の知識が少しでも役立つと嬉しいものです。