日本の死因を占める疾患のトップ4は、がん、心疾患、脳血管疾患、肺炎。

生活習慣病といわれる疾患で占められているのです。

世の中では、医療の発達から健康寿命が延び、超高齢化社会を目前に、疾患予防の取り組みが盛んになりました。

生活習慣病の予防はその代表的なテーマです。

今回は、そもそも生活習慣病とは?という基本的なところから、特に生活習慣病の予備群になりやすい人に向けて、自身の健康をセルフチェックするツールの紹介をします。

生活習慣病とは

生活習慣病とは、その名のとおり、日々の生活習慣が原因で起こる疾患ことです。

生活習慣の中でもとくに、

  • 食事
  • 運動
  • 喫煙
  • 飲酒
  • ストレス

などが影響して、病気の原因になります。

生活習慣病の種類

今は肺炎もランクインしていますが、しばらく日本の三大死因であった「がん」・「脳血管疾患」・「心疾患」はすべて生活習慣病。

もっと細かくいうと、脳血管疾患や心疾患のリスク因子である「動脈硬化症」・「糖尿病」・「高血圧症」・「脂質異常症」なども同じく生活習慣病とされています。

その他にも、食習慣・運動習慣・喫煙・飲酒のそれぞれが要因になりやすい疾患はこちらです。

  種類
食事 インスリン非依存糖尿病、肥満、高脂血症(家族性のものを除く)、高尿酸血症、循環器病(先天性のものを除く)、大腸がん(家族性のものを除く)、歯周病等
運動 インスリン非依存糖尿病、肥満、高脂血症(家族性のものを除く)、高血圧症等
喫煙 肺扁平上皮がん、循環器病(先天性のものを除く)、慢性気管支炎、肺気腫、歯周病等
飲酒 アルコール性肝疾患等

出典:健康寿命をのばそう「生活習慣病を知ろう!」

難しい疾患名もあるかもしれませんが、糖尿病や肥満は比較的なじみのある病気ではないでしょうか。

平成27年の国民・栄養健康調査では、肥満の人は男性29.5%女性19.2%でした。

約4~5人に1人は肥満ということです。

4~5人に1人は、肥満が原因となって他の病気にかかるかもしれず、結果「生活習慣病による死亡」になるかもしれないのです。

生活習慣病は全死亡者数の6割

実はこの生活習慣病、日本の医療費の約3割、全死亡者数の約6割を占めています。

特に、発症しやすい年齢は、身体が衰えてくる高齢期が多いため、高齢化先進国である日本では、その予防がとても重要視されています。

こちらの図は、医療費と死因に占める疾患の割合です。

出典:厚生労働省「厚生労働省委託「健康意識に関する調査」の概要」

グラフ中にかかれている疾患はすべて生活習慣病です。

生活習慣病がいかに医療費を圧迫しているかわかりますよね。

また、だいたいが生活習慣病が原因で死んでいますと言っても不思議ではないことがわかります。

ちなみに、代表的な生活習慣病それぞれの受診率・1件当たりの受診日数・1日当たりにかかる医療費を調査したデータがこちら。

出典:平成 26 年度生活習慣病医療費の動向に関する調査分析 平成 28 年 3 月 IT 推進部データ分析推進グループ

生活習慣病は、病院で受診していない「潜在患者」がとても多いと考えられています。

グラフの調査は、病院を受診した人だけの統計になりますが、1日あたりにかかる1人当たりの医療費は、糖尿病患者で7,308円

人工透析をする場合は、10,779円

あくまでもこれは、1人1日あたりにかかる費用です。

生活習慣病が1日で完治することはほぼありえなく、通常は何日も要するケースがほとんどです。

糖尿病でしたら、予備群も含めると全国に1,400万人近くいると推定されています。

また、中性脂肪やコレステロールが高い高脂血症の人は潜在患者も含めると2,200万人に及ぶそう。

入院する場合とでまた医療費は変わってくるものの、かかる医療費は日本経済を圧迫するほどというわけです。

死の四重奏

生活習慣病は細かくみるとそれぞれは直接死につながるものは少ないものの、合併することで大きな病気を引き起こしやすくなります。

特に

  • 高血圧
  • 高脂血
  • 糖尿病
  • 肥満

この4つは“死の四重奏”と呼ばれていて、この4つのうち同時に病気を発症しているケースがとても多いです。

しかも合併すると、動脈硬化心筋梗塞など、発症したら死亡リスクが急激に上がってしまう病気の原因になりやすいです。

そんな事態を重く受け止め、なんとかしようと生活習慣病を改善し予防習慣を普及させようという取り組みが始まりました。

生活習慣病のあゆみ

生活習慣病が注目されるようになったのは、一言でいうと疾病構造の変化によるもの。

健康問題は一番最初は感染症

19世紀ごろまでは、健康上の問題というともっぱら”感染症”でした。

生活習慣病が少なかったわけではありませんでしたが、当時はそれだけ感染症による死亡がとても多かった時代でした。

また、食事をはじめ現代とは生活スタイルが異なったため、現代でいうところの脂質異常などは少なく、栄養不足に関連する疾病が多かったようです。

やがて研究が進んで感染症対策への課題が解決し、20世紀以降は先進諸国を中心に、感染症で死ぬ人が減り、生活習慣病が主な死因になりました。

日本で感染症が克服されていく歴史についてはこちらの記事をご参考に。

疾病構造が変化し成人病が注目

日本では、昭和30年代に今でいう生活習慣病による死亡率が増えたことから、「主として、脳卒中、がん、心臓病などの40歳前後から死亡率が高くなり、しかも全死因の中でも上位を占め、40-60歳くらいの働き盛りに多い疾病」と定義づけをした成人病が注目されるようになりました。

この頃はまだ、成人病の要因が生活習慣によるものだということはわかっていませんでした。

当時の日本の死因の上位であった、がん・脳卒中・心臓病の3つは三大成人病と呼ばれました。

成人病から生活習慣病へ

近年になって、成人病は長年の生活習慣が大きく影響していたことが明らかになって以降、成人病は生活習慣病と名を改めました。

2000年には、厚生労働省により、生活習慣病の一次予防に重点を置いた「健康日本21」が策定されました。

一次予防とは、そもそも治療が必要な状態にならないような取り組みをするもの。

たとえば、特定健診や特定保健指導を強化するといった取り組みですね。

健康日本21では、

  • 食生活・栄養
  • 身体活動・運動
  • 休養・心の健康づくり
  • 喫煙
  • 飲酒
  • 歯の健康
  • 糖尿病
  • 循環器病
  • がん

これら9つの分野についてそれぞれ目標を定めて、国民健康づくり運動が推進されることになりました。

その後、2008年には新たにメタボリックシンドロームおよびその予備群を2015年までに25%減少する目標が追加されました。

生活習慣病に関連する生活習慣

いうまでもなく、生活習慣病の原因は日々の生活習慣です。

食事、運動、喫煙、睡眠…たくさんの要因がありますが、これまでの研究で特に関連が強いとわかっているものを紹介します。

1日の歩行時間と心疾患・脳梗塞の死亡リスク

こちらは、1日の歩行時間と心疾患・脳梗塞の関係を表したグラフです。

出典:厚生労働省「厚生労働省委託「健康意識に関する調査」の概要」

0.5時間すなわち30分の歩行を1とした時の虚血性心疾患および脳梗塞による死亡リスクが数値になっています。

30分未満しか歩かない人は、虚血性心疾患による死亡リスクが1.34倍になり、1時間以上歩いていれば、0.84倍と減少することがわかります。

脳梗塞の場合は、1時間以上の歩行は0.6~0.9時間よりも逆にリスクを高くしてしまうという結果がわかっており、何事も適度が大事ということがわかりますよね。

運動と心疾患・脳梗塞の死亡リスク

こちらは、1週間のスポーツ時間と虚血性心疾患・脳梗塞による死亡リスクの関係を示したグラフです。

こちらは1週間のスポーツ時間1~2時間を1として基準にしています。

出典:厚生労働省「厚生労働省委託「健康意識に関する調査」の概要」

最もリスクが低いのは5時間以上スポーツをしている人。

でも1週間に5時間以上スポーツする機会は難しいケースが多いのではないでしょうか。

土日に2時間ずつスポーツをしたとしてもあと1時間は平日にジム通いなどでしょうか。

虚血性心疾患は運動時間が少ないほうがリスクが低い結果となっていますが、脳梗塞はスポーツ時間が短いと死亡リスクが高くなりますね。

1日あたりの歩数と生活習慣病の死亡リスク

こちらは、1日あたりの歩数と生活習慣病による死亡者数の関連を相関分析した結果です。

専門的な分析結果になりますので、このグラフは読めなくてもOKですが、オレンジ色の点が、調査した人の歩数とそれに該当する死亡者数の散布図で、この分布を計算してみると、相関関係があってキレイな直線で表せましたよということです。

 出典:厚生労働省「厚生労働省委託「健康意識に関する調査」の概要」

つまり、歩数と生活習慣病による死亡者数には相関があるということ。

歩数が多いほど生活習慣病による死亡が少なくなるということがわかったわけです。

このほかにも、睡眠との関連や食事との関連など、それはそれは多くの研究結果がありますが、この場では割愛します。

では最後に健康のセルフチェックをご紹介しましょう。

健康セルフチェック

最近では様々な研究機関より、最近では生活習慣病のリスクを事前に計算することができるようになりました。

生活習慣病についてご理解いただいたところで、まずはご自身の健康についてセルフチェックしてみませんか。

健診の結果を入力するといった方法で簡単に将来の疾病リスクを計算できるツールです。

ちなみに、健診にも種類がありますので、それについてはこちらの記事をご参考に。

脳卒中

脳卒中発症予測プログラム

情報を入力することで、人口10万人対の脳卒中発症率を計算できます。

また値によってメッセージが表示されます。

条件を変更することで目標値を決めることが可能です。

脳卒中危険度予測ツール

40-79歳の方で、健診結果を入力することで、健診後の5年、10年、15年間に脳卒中やがんなどの生活習慣病で死亡するリスクを計算できます。

脳卒中リスクチェック

40-69歳の方で、「喫煙習慣・糖尿病・血圧・降圧剤服用・BMI」などの項目から、今後10年の「脳卒中発症リスク」や「血管年齢」を計算します。

循環器疾患

脳卒中・心筋梗塞危険度予測シート

40-79歳の方が対象で、健診結果を記入することで、脳卒中・心筋梗塞に将来どれくらい罹りやすいかがリスクスコアで確認できます。

こちらの予測ツールは過去の記事でも紹介しています。

CIRCS研究(大阪府民版循環器疾患・発症予測ツール)

45-75歳の方で、特定健診の結果を用いて、10年以内に循環器疾患(脳卒中や虚血性心疾患など)を発症する確率を計算します。

糖尿病

糖尿病危険度予測シート 第二版

40-69歳の方で、健診結果を記入することで、糖尿病に将来どれくらい罹りやすいかがわかります。

がん/循環器疾患

がんと循環器の病気リスクチェック

40-69歳の方で、生活習慣(喫煙習慣・飲酒習慣・BMI)から、今後10年に罹患するリスクを計算できます。

大腸がんリスクチェック

40-69歳の方で、生活習慣(喫煙習慣・飲酒習慣・運動習慣・BMI)から、今後10年に大腸がんに罹患するリスクを計算できます。

5つの健康習慣によるがんリスクチェック

45-74歳の方で、生活習慣(喫煙習慣・飲酒習慣・食習慣・運動習慣・BMI)から、今後10年にがんに罹患するリスクを計算できます。

歯・口腔の健康

「生活歯援プログラム」セルフチェック版

歯・口の状態や保健行動など20項目にから、歯と口の健康についてセルフチェックができます。

お口のセルフチェック

歯・口の状態について18項目の質問から、診断結果が表示されます。

歯の健康づくり得点チェック票

歯・口の状態や保健行動など10項目から、歯を失わないための生活習慣ができているか確認できます。

お口の健康をチェックしてみましょう

8つのチェックリストから、歯周病の初期症状と健康習慣を確認できます。

歯周疾患の自覚症状とセルフチェック

歯周病の初期症状や歯周病が起こりやすい条件をチェックできます。

歯周病セルフチェック

歯・口の状態について9つの項目から、歯周病のリスクを確認できます。

歯周病のセルフチェック

歯周病のチェックや歯周病が起こりやすい条件や、歯周病の基本情報を学べます。

厚生労働省より奨められているチェックツールは以上になります。

特に歯の健康についても注目されており、疾患との関連も数々の研究から明らかになっています。

この機会にぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。

おわりに

いかがでしたでしょうか。

今回は生活習慣病とは?という基本から、具体的な生活習慣との関連やセルフチェックツールのご紹介をしました。

自覚症状がないうちは、乱れた生活習慣をしていてもその時は影響がないかもしれません。

でも、文字通り生活習慣は、習慣づく初期の段階で改善したほうが疾患のリスクも減らせます

これを機にいきなり運動を始めようとか、外食をやめようとか、そういった大胆な改善はしなくとも、少し意識して気を付けてみるところからスタートすればよいと思います。

歩数が疾患リスクを下げるなら、今日はエスカレーターをやめて歩いてみようとか、食事なら、単純に野菜を1品増やしてみようとか。

その1品は、手間ならばお総菜コーナーで購入してもいいと思います。

まずは意識するところから健康生活をスタートしましょう。