このほど話題のマインドフルネス。

「今ここに最大限に集中する」ことでさまざまなパフォーマンスを向上させるというもの。

日本では急激にその知名度を上げ、企業ではストレス緩和や業務効率を上げるためのセミナーが開かれたり、医療現場でも心理療法として患者さんのメンタルケアに大活躍。

今回は、現在実践されているマインドフルネスの方法を紹介していきます。

日常的に、これならできそう・マインドフルネスだとは知らなかったけれどもやっていたといったこともあるかもしれませんよ。

 

マインドフルネス革命の時代

マインドフルネスが世界で最初に話題になったのは2014年アメリカにて。

ご存じ、アメリカで有名なタイム誌は、2014年1月の表紙を『Mindful Revolution』としてどーんと刊行。

出典:TIME Health

マインドフルネスはこれ以降さらに勢いを増し、世界各地で実践されるようになりました。

代表的な実践企業や財界人・著名人がこちらです。

  • Google
  • Facebook
  • Intel
  • Apple
  • Goldman Sachs
  • スティーブ・ジョブズ
  • バスケのマイケル・ジョーダン
  • テニスのノバク・ジョコビッチ
  • メジャーリーガーのイチロー
  • 相撲の琴奨菊
  • マイクロソフトのビルゲイツ
  • 京セラ・第二電電(現・KDDI)創業者、稲盛和夫
  • 元米大統領ビル・クリントン
  • サッカーの長谷部誠

外資系企業・創造性を仕事にする企業は特にですが、マインドフルネスを取り入れています。

また、著名な財界人やスポーツ選手・セレブの間でも人気です。

実践されている日常レベルのマインドフルネス

では、マインドフルネスの考え方を昇華し、特に著名人発信で話題となっている方法をご紹介していきます。

とはいってもマインドフルネスは形式ではなく、その考え方が核

個人個人その実践のしかたは様々で何通りあっても良いものです。

これからご紹介する方法は、その方法自体が何らかの研究に基づいた効果が示されているわけではありません。

でも、そもそもマインドフルネスの実践自体に良い効果が明らかになっているため、そのハコが変わるだけとお考えください。

興味があるけどヨガや瞑想はちょっと敬遠しがち

もしも日常のことに一工夫する程度でできるなら、また、教育現場や企業で実践されている方法を知りたい

ここ1年ほどでマインドフルネスに特化したセミナーが急増しましたが、私ならそこにお金をかけずとも手ぶらでいつでもどこでもできることを声を大にしてお伝えしたい。

ということで、2017年7月時点の私的な調査によってヒットしたマインドフルネスの実践方法はこちら。

のちほど、企業や組織での実践事例もご紹介します。

  • 歩行禅
  • 音楽瞑想
  • 瞑想ランニング
  • 茶道マインドフルネス
  • マインドフルネスヨガ
  • ~ながらマインドフルネス
  • アプリでマインドフルネス

1つ1つを軽くみていきましょう。

歩行禅

その名のとおり、歩きながら禅をするというものです。

一体どういうことかというと、マインドフルネスの「意識を集中する」考えを、「ウォーキングへの意識」にあてはめるというものです。

そんなイメージがあるかもしれません。

でも歩行禅はれっきとしたマインドフルネストレーニング。

脳科学者の茂木さんも実践されているそうですよ。

意識することは簡単。

歩いているその行為に意識を集中すること。

具体的な方法としては、下記のようなものがあげられます。

  • 足を一歩一歩踏み出す際に地面につく足の裏に意識を向ける
  • 吸って、吸って、吐いて~を一歩踏み出すリズムに合わせて
  • 腕を大きく振ることに集中

ポイントは、何も考えずただ歩くことに集中すること。

そのままですが(笑)

ただの移動ではもったいないからと、移動時間に勉強したり仕事したり…

そんな生活が身についている方が多いと思いますが、ぜひ一度お試しください。

脳が空っぽの状態、いわゆるアイドリング状態を作り出すことで、その後に控えた仕事のパフォーマンスは一気にあがることが分かっています。

歩く時間はマインドフルネス瞑想の基準時間である3分から。

有酸素運動にもなりますし、ウォーキングは脳にとても良い刺激を与えるそうですよ。

音楽瞑想

はい、こちらも茂木さんが実践されているという方法。

好きな音楽や、いわゆるヒーリングミュージックと呼ばれる音楽を聴いてリラックスするというもの。

川のせせらぎや森の中にいるような自然の音が代表的ですが、ご自分の気に入っている曲でも試すことができます。

音楽瞑想は、医学の分野では音楽療法として、人のQOLやADLを向上させるということも明らかになっており、現場で大活躍しています。

またある研究では、「最もリラックスできる曲」としてマルコニ・ユニオンが作曲した『無重力(weightless)』という曲の効果が証明されました。

ストレス軽減になるそうですよ。

それがこちらの曲。

youtube「Marconi Union – Weightless (Official Video)」

また、音楽を使った瞑想法の1つにナーダブラーマ瞑想というものもあります。

こちらも効果は同じく頭をスッキリさせるための方法。

夜も深く眠れるようになるということです。

ただ、こちらはビギナーが30分からと、割と日常の中にすぐ取り入れられるとはいいきれない、ちょっと時間のかかる方法です。

方法はこちら。

  • 目と口を閉じてリラックスした状態で座る
  • 呼吸は普通でOK
  • 身体を自然にゆらしてもOK
  • 音楽に合わせて唇を閉じて「mmmmm…~」とハミング

これを1回30分続けます。

長く感じますが気にせず続けていると、ごちゃごちゃしたのがスッキリする感覚が訪れます。

瞑想ランニング

ウォーキングに引き続き、ランニングとのタイアップです。

「瞑想~」をつけなくとも、マインドフルネスに効果のある方法で日常的にランニングしている方はもう経験済みかもしれません。

マインドフルネスに効果のあるランニングは、競技のランニングではありません。

トレーニングのための辛いランニングでもありません。

呼吸はリズミカルに、息苦しくない自分のペースで一定の速度で走ることが大事です。

もともとランニング自体が脳に良い影響を与えることが分かっています。

ランニングによって、記憶や空間学習能力などの脳の認知力を司る海馬が刺激されるというのです。

これによって、創造力や問題解決能力が向上するとのこと。

申し訳ないことに、脳科学分野においては私は素人のため、詳しいことはわかりませんが…

ただただ、ランニングの一歩一歩に集中し、走っている場所の音やにおいや景色を感じること。

それが瞑想ランニングです。

茶道マインドフルネス

お茶を趣味にされている方は必見です。

お茶を点てる時間はマインドフルネスなのだそう。

茶道の起源は禅からきたものですので、マインドフルネスの考え方が合致するのは当たり前だとも思いますが。

お茶の世界には、茶禅一味(ちゃぜんいちみ)という言葉があり、その名の通り「お茶も禅も同じところがルーツですよ」ということ。

つまり禅の教えと同じで、求めるところも同じですよということですね(茶道も素人ゆえ、表現が間違っていましたらご指摘ください)。

茶道は、姿勢をキレイにお茶を点てる動作ひとつひとつを丁寧に行います。

でも、その動作の最中は緊張しているわけでなく、逆にリラックスしている状態

特にマインドフルネス実践のために意識することはなく、お茶を点てることそのものがマインドフルネスといえるわけです。

茶道は身近ではない方が多いと思います。

でも、大事な日本文化の1つ。

「もっと身近に」という考えから、最近では無料で茶道体験ができたり、お茶会に参加できたりと、さまざまな催しで門戸を開放しています。

ぜひ一度足を運んでみてはいかがでしょうか。

マインドフルネスヨガ

ヨガはもうマインドフルネスのスタイルの王道です。

同じヨガでもやり方は様々ですが、基本はこちら。

  • イスに座って背筋を伸ばす
  • 足を肩幅、肩の力を抜いてリラックス
  • 目を閉じる(または視線を下に落とす)
  • 呼吸は自然に
  • 呼吸に意識を向ける

呼吸に意識していると、息を吸った時にお腹の皮が上がり、皮膚が少し引っ張られる感覚を感じるはず。

逆に息を吐くと緩む感覚を感じます。

途中で他のことを考えてしまったり意識がどこかにいってしまったら、また意識しなおしましょう。

こちらにも記述していますのでご参考に。

~ながらマインドフルネス

要は今行っていることに意識を集中するマインドフルネス。

例えば、歯磨きをしながらマインドフルネスというのもありです。

歯磨きは片手間になりがちではありませんか。

テレビをみながら、片付けながら、本を読みながら、スマホをみながら…

なんとなく歯磨き以外のことに意識が向いているのを、マインドフルネス的になおすと、歯磨きに一点集中するということ。

歯磨きの方法はいつもどおりでOK。

たとえばこのようなことに意識を向けてみてください。

  • 歯ブラシの感触を意識
  • ブラッシングされている歯の感触・歯茎への刺激
  • 歯磨き粉の味
  • 歯磨き粉の香り

ついつい、朝や夜の忙しい時間帯は「次にやるべきこと」を考えながら歯磨きしがちかもしれません。

でもふと考え直してみてください。

それは今すぐに考える必要があることか、あとまわしでも良いことではないか?

そうしてタスクの整理をすることで、歯磨き時間の約2~3分をマインドフルネスの時間にあてられないでしょうか。

また、同じ要領でスキンケアをしながらマインドフルネスも可能です。

意識することはたとえば…

  • 化粧水・乳液を手のひらに出した時のひんやりした感触
  • 化粧水・乳液の香
  • 化粧水・乳液の色
  • 化粧水・乳液の手触り
  • 肌にのばした時の感触
  • 水分の多い化粧水なら、パシャパシャという音と感触
  • じわっと肌にしみこむような感覚

スキンケアは、その行為自体に「気持ちが良い」と感じることでよりリラックス効果を発揮します。

みなさんはタッチングをご存じでしょうか。

文字通り手で触れること。

ただし丁寧に、気持ちが良いと感じるように触れる技術です。

タッチングはマインドフルネス同様に痛みやストレス緩和の効果があることがわかっています。

立派な看護技術の1つで、肌のぬくもりを「気持ちの良く」感じることが大事。

ボディケアの際にはぜひタッチングも意識されてみてはいかがでしょうか。

アプリでマインドフルネス

こちらは現代人ならではのマインドフルネスの方法ですね。

出典:google play 「Zenify マインドフルネストレーニングと瞑想エクササイズ」

スマートフォン用のアプリでマインドフルネスの実践ができるものが今やたくさん出ているのです。

いくつかご紹介しましょう。

 

他にも、自分だけのリラックス音楽を作ることができるマインドフルネスアプリや、瞑想の効果をカメラで顔撮影することで振り返りができるアプリなどオリジナリティあふれるアプリもありますよ。

すきま時間にどれでも1つで良いのでお試しいかがでしょうか。

企業・国・学校でのマインドフルネス実践

マインドフルネスは今やそれだけで一大産業とも呼べるほど各地で実践されています。

それは先にご紹介した個人レベルのものから、企業や組織・教育機関・医療現場、さらには国レベルの規模まで。

企業における実践

マインドフルネスを用いた人材開発は大手優良企業ではもはや定番ともいえる取り組みです。

Google、Facebook、Intel、Apple、Goldman Sachs…

どれも良く耳にする・世界のトップ企業。

具体的にどんな取り組みがされているのかをご覧ください。

  • Google社では独自に築いた「Googleメソッド」という方法でマインドフルネス瞑想を社内で実践
  • Google社のエンジニアChade-Meng Tan(チャディー・メン・タン)は社内で瞑想講座を数百回にわたり指導。彼の著書『サーチ! 富と幸福を高める自己探索メソッド』はベストセラーになった。
  • 米国トップの食品会社General Mills(ゼネラル・ミルズ)は瞑想を組織の正式な慣行にしている。本社の敷地内にあるすべてのビルには瞑想用の部屋がある。
  • General Mills社内で瞑想の講座を指導していた元幹部Janice Marturano(ジャニス・マートラーノ)は、退社後Institute for Mindful Leadershipを設立。マインドフルネス瞑想を企業幹部向けに指導する講座を運営。
  • Goldman Sachs(ゴールドマン・サックス)のマインドフルネスの講座と取り組みは、Fortune(フォーチュン)誌の特集で取り上げられた。
  • またJanice Marturano氏は『A Practical Guide to Mindful Leadership』を出版。2013年のダボス会議では、マインドフルネスの訓練セッションを開催した。
  • Apple創設者のスティーブ・ジョブズは瞑想の実践者。負のエネルギーを抑制し、画期的な製品を創造、チームに卓越した実現性を求めた。
  • 医療機器メーカーのMedtronic(メドトロニック)は、1974年にはすでに瞑想のための部屋を設けていた。
  • 医療保険会社aetna(エトナ)は、瞑想とヨガの効果について調査を実施。従業員の健康管理コストの抑制につながることを報告した。

マインドフルネスの軍事利用

財界人や世界の優良企業はもちろんのこと、なんとマインドフルネスは軍事利用もされていました。

出典:US Army 「Improving Military Resilience through Mindfulness Training」

米軍において、マインドフルネスの組織的活用は2つの目的があります。

  • 退役した軍人のPTSD(心的外傷後ストレス障害)のケア
  • 実戦配備される前の練兵トレーニングの一環として導入

これは事実です。

といっても、1つ目の退役軍人へのメンタルサポートよりも、訓練中の兵士へのトレーニングの一環としての活用が主です。

U.S. Armyの公式ホームページにもしっかり掲載されています。

軍人は、肉体的な訓練のみでなくメンタル面の強化も必須。

U.S.Army がマイアミ大学とともに組織した研究チームによると、マインドフル瞑想で、兵士のメンタル面の不調を緩和し、実践における強いストレス状態に備える技術を向上させらることが明らかになりました。

つまり、戦場で強いショックにも耐え、冷静に的確に戦うことのできる兵士を訓練するためにマインドフルネス瞑想が活用されているということ。

とても複雑ではありますがこれも事実

教育現場での実践

次は教育現場での実践事例です。

マインドフルネスは学校の授業の1コマとして教育に盛り込まれていたりもします。

Mindful Schools(マインドフル・スクールズ)は、全米50州・世界100か国以上の小中高校でマインドフルネスを用いた教育法を指導している非営利組織。

教育現場では、不眠による居眠り・鬱や不安障害・いじめや暴力などが問題となっています。

そんな子供たちの学びの場をよりよくしようと取り入れられました。

具体的にどんな授業内容なのでしょうか。

最初に行うのは15分間の”マインドフル・リスニング”だといいます。

鐘の音を、音が聞こえなくなるまで聞くというもの。

  • 教師は最初に「一緒に教室を心穏やかにリラックスできる場所にしましょうね」と目的もを明確に伝える
  • 教師が鐘を鳴らして、「音が聞こえなくなるまで聞きましょう」と、お腹や胸に手をあてて呼吸を感じるよう促して、子どもたちと一緒に耳を澄ませる
  • 音が聞こえなくなったと感じたら手を上げてもらう
  • 手を上げた子から順に、「あげた手をゆっくり自分のペースで降ろして、そっとお腹に手を当てましょう」と、呼吸とともにへこんだり膨らんだりするお腹をただ感じてもらう

まず注意することは、音を聞く動作は目を閉じることをイメージされるかもしれません。

でも目は閉じなくてOK

子どもによっては、強いトラウマを持っている子もいて、そんな子にとって暗闇は不安の原因になってしまうのです。

そして手を上げるタイミングについて。

これは速いも遅いもどちらが良いということなありません。

自分のペースで感じるままに意識を向けることが大事だからです。

そのほかにも、マインドフル・イーティングも実践されています。

日本でも松花堂弁当でマインドフルネスを実践した例がありますが、これは食べるマインドフルネス。

口に入れるものの色・形・におい・かたさなどを意識して、よく味わうというもの。

これは日常でできますよね。

食べるものをしっかりと感じることで、感じるためによく噛むようになりますし、早食いも緩和されるはず。

いつもよりも「おいしい」と感じるのではないでしょうか。

よく噛むことは健康にもとても良いのです。

こちらの記事も合わせてどうぞ。

おわりに

いかがでしたでしょうか。

マインドフルネスの軍事利用は少々ざわざわする内容ではあり、あまり突っ込んだ私情は載せられないところではありますが…

このようにさまざまなところで活用されているのがご理解いただけたかと思います。

2年ほど前までは、スピリチュアルなイメージとともにあまり関心を集めてこなかったマインドフルネス。

今では、そのワードを検索するだけで、ニュース記事でとりあげられたり、企業主催のマインドフルネスセミナーやそれに特化した私学学校が出てきたり…

これはいわゆる”マインドフルネスビジネス”とも呼べる現象ではないでしょうか。

「~式瞑想法」や「~式ヨガ」といった、マインドフルネスを形式化した”商品”が多く出回っているようで、ちゃんと本質が普及してほしいなと思っていました。

でも、形式からだんだんと本質にたどり着いても良いわけですし、「これをやれば大丈夫」という一種の暗示、いわゆるプラシーボ効果にも期待大。

とりわけ、問題となっているメンタルケアの分野においては一層科学的根拠のもとで活躍してほしいなと思います。