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マインドフルネスという言葉をご存知でしょうか。

直訳するとマインド(=心)がフル(=満たされている)状態のことで、「今、ここに全身全霊意識を向ける」考えをベースとした「瞑想法」として知られています。

これが、物事において最高のパフォーマンスを引き出す手段として高く評価されており、2000年以降、企業経営という点においてもじわじわと流行ってきているのです。

予防医学とは密接なかかわりがあるマインドフルネス、瞑想のイメージが先行しているのではないでしょうか?

日本では、うつや自閉症への認知療法、ホスピス緩和ケア、スポーツへの介入、企業が研修に取り入れることも多くなってきて、その考え方は実に幅広い領域で注目されています。

今回はマインドフルネスとは何か?

その効果と活用されている事例とともにご紹介しましょう。

マインドフルネスとは?

マインドフルネスを初めて聞く方・少し知っているよという方はマインドフルネスにどんなイメージを湧かすでしょう。

ちょっと宗教的?

哲学的?

スピリチュアル?

ヨガ?

瞑想?

どれも正解です。

もともとは仏教の考え方から由来したもので、アメリカで切り離された一部の考えが流行り、それが日本に逆輸入する形で広まりました。

マインドフルネスとは、この領域の権威と言われるジョン・カバット・ジン氏はこう定義しています。

Mindfulness is the awareness that arises through paying attention on purpose, in the present moment, non-judgmentally to the unfolding of experience moment by moment.                                                               

訳すと、「今この瞬間に、偏った価値判断を加えることなく、意図的に、能動的な注意を向けること、そしてそこから得られる気づき」です。

簡単にいうと、

「今やっていることにものすごく集中して、いつものことをいつも以上に感じ取ること」

わかりにくいでしょうか(笑)

的確に表現できる日本語がないため、どの説明を読んでもわかりにくいとは思います。

この「集中すること」を「awareness」と置き換えたらしっくりくる方もいらっしゃるでしょうか。

例えば、いつものようにご飯を食べることをマインドフルネスにやってみると、ただ食べるのではなく、

  • ご飯の香りを楽しんで
  • 色を見てほっとして
  • よく噛んで味わって
  • ご飯の暖かさや甘みや食感を感じて

意識して食べる。

このように、今の行動にものすごく五感を注ぐことを「マインドフルな状態」といいます。

この状態は、人や自分の判断・善悪を主観的に主張する状態ではなく、どんな感情も客観的にとらえて受け入れられる状態です。

それをすることで心がより満たされ、良いことにつながることが多いです。

良く知られているマインドフルネス瞑想の効果

マインドフルネスの考え方より先に一人歩きして流行っているのが、「マインドフルネス瞑想」です。

マインドフルネスはそもそも手法ではなく「心を整える」考え方。

その方法として代表的なのが瞑想やヨガで、形がありわかりやすいので瞑想やヨガとセットで実践されることが多いのです。

マインドフルネスの方法の1つであるマインドフルネス瞑想の効果は、

  • 高血圧の改善
  • 血糖値やコレステロールの上昇抑制
  • 不安の軽減
  • ヒーリング効果を高め
  • 大脳皮質の発達につながる

といったことが科学的に証明されています。

大脳皮質は注意力、感覚処理、記憶、認識など、高次機能に関与しています。

マインドフルネスを活用した様々なプログラム

マインドフルネスの実践効果は医療現場でも注目されており、患者のストレスの軽減や鬱病の再発防止を目的とした、8週間プログラム(MBSR)は広く普及しています。

また、企業では、従業員の幸福感や満足感の向上・モチベーションアップ・生産性向上といった面で活用されたり、

スポーツにおけるパフォーマンスの向上、子供や若者を対象とした教育プログラムでは、精神的落ち着きや学習能力の向上などで応用されています。

このように、マインドフルネスは実に様々な分野で注目されているのです。

もともとは、仏教から派生したものですが、徐々に医学や心理学でも使われるようになり、2000年代以降、経営学や企業経営におけるリーダーシップ開発、人材開発の分野でも活用されるようになりました。

企業での活用はIT企業大手Google社の成果が有名です。

Googleのマインドフルネスプログラム

Google社では2007年に「Search Inside Yourself(=SIY)」という、最新の脳科学に基づいて開発したリーダーシップ・パフォーマンス向上のプログラムが開発されました。

最初は、開発者を中心とした社内の一部に向けた研修プログラムでした。

その後、そのメソッドが高く評価されGoogle社内で最も人気があるコンテンツのひとつになり、さらに広く世の中にも出回るようになったのです。

開発のきっかけは、「仕事で高い成果が出ることと、自分の幸せが必ずしも結びつかない」と感じたことからだったといいます。

そこで目指したのが、世界一健康で幸せな会社を作ること。

具体的な方法は「マインドフルネス瞑想」でした。

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出典:Mindful Leadership Instituteに掲載された、社員がマインドフルネス瞑想を実践している様子

当時マインドフルネスが社内研修に取り入れられて以降、その効果は科学的にも証明されるようになり、今では、

  • Facebook
  • Intel
  • McKinsey
  • NIKE
  • Yahoo
  • アメリカ海軍
  • アメリカ国防総省
  • アメリカ農務省森林局

といった、多くの超大手企業や政府機関でも取り入れられるようになっています。

Googleの実践はその手法が書籍化するほどですので、ご興味ある方は読んでみてはいかがでしょうか。

マインドフルネスの効果が示された研究事例

では続きまして、マインドフルネスの効果が具体的に示された研究をご紹介しましょう。

マインドフルネスがここまで流行っているのは、

日常に簡単に取り入れられる考え方である点と、

それがちゃんと科学的根拠に基づいた効果があるという点が最大の理由です。

マインドフルネスに関する研究は数えきれないほどあるので、有名な研究からいくつか抜粋します。

  • 抗うつ薬投与の群よりもマインドフルネス実践群の方が、うつ病の再発は少なかった
  • マインドフルネス実践者は脳の前頭前野にあるdlPFCの活動が活発になっている
  • 大規模メタ分析から、マインドフルネスは心理的な問題、特に不安、うつ、ストレスの減少に効果があることがわかった
  • マインドフルネス実践群は海馬の灰白質が5%増大し、逆に扁桃体は5%減少した。灰白質の変化は、新しい能力を身につけたときの変化に匹敵し、扁桃体減少は、ストレスに対する過剰な反応が抑えられていることを意味する。
  • 1日のマインドフルネス実践で、慢性炎症に関わる遺伝子であるとされているRIPK2の活動が減少した。
  • 瞑想したグループは、他のグループよりもストレスが少なく、集中力も高く、記憶力も向上していた。
  • 注意力向上の訓練を結果、学生の記憶力と学業成績を向上させた。
  • マインドフルネスの考え方で五感をフルに使いながら食事をすることで、実施したグループのカロリー摂取量は、通常の食事をしたグループよりも低く抑えられた。
  • マインドフルネス瞑想を実施した人や、もともと性格的にマインドフルネスの状態に近い人は、「サンクコストの誤り」を免れているという相関関係が明らかになった。※サンクコストの誤りとは、それまでに費やした時間やエネルギーを惜しんで、先の見込みのない交際や仕事にしがみついてしまう傾向を指す。つまり、意思決定能力を高めたということ。
  • マインドフルネス実践により、慢性疼痛・ガン・心臓病などの慢性疾患を改善させることがわかった。
  • 瞑想をしていたグループは抗炎症薬・鎮痛剤の働きをする遺伝子に変化が起き、ストレス状態から早い回復を見せた。
  • ヨガを実践したグループは、終了後から3か月間、ヨガをしなかったグループよりも疲労を感じず、元気な人が多かった。
  • 教師と一緒にヨガを行った低所得家庭の小学三年生に注意力の改善がみられた。
  • ある会社で7週間瞑想とマインドフルネスのプログラムを受けて、通常通りの仕事をしたところ、仕事に優先順位をつける作業により時間を割くようになり、非生産的な活動をしないようになった。

大変興味深い研究結果がありますね。

マインドフルネスプログラムの一部を置き換えると「気持ちの整理」とでもいうでしょうか。

その後のパフォーマンスが飛躍的に向上することがわかりますよね。

また、普段の食事も意識的に味わうことで減量につながるという大変魅力的な研究結果。

「味わう=よく噛む」ということで、さらに「噛む」ことは、満腹中枢を刺激します。

他にも、よく噛むことは健康にもとても良いのです。

詳しい内容はこちらで紹介しています。

さて、マインドフルネスは多くの有名人がその効果を認めて実践しています。

マインドフルネスで成功した事例

どんな人が、どんな組織がマインドフルネスを実践しているのでしょうか。

いずれも高いパフォーマンスを実現したり、社会問題を解決の方向へ向けたりと、結果を残した事例です。

  • イギリスでは、国会議員が投票を行う際にマインドフルネス瞑想を行っている。
  • 幼稚園など教育機関で取り入れた結果、子どもたちのいじめや差別が減少。
  • 2016年1月の大相撲初場所で日本出身力士として10年ぶりに優勝した琴奨菊関は、メンタルトレーニングとしてマインドフルネスを活用し弱点克服した。取り組み直前に上半身を反らす「琴バウアー」はマインドフルネスの一種。
  • 通算11回、チームを全米チャンピオンに導き、プロバスケットボール界で最も成功したコーチと言われているフィル・ジャクソンは禅の考え方を徹底した指導を行ってきた。ジャクソンはバスケットボール界のスーパースター、マイケル・ジョーダンやコービー・ブライアントにも瞑想の指導をし、最近では最優秀選手賞を4度受賞したレブロン・ジェームズがタイムアウト中に瞑想している姿がYoutubeで人気となっている。
  • ビル・ゲイツはマイクロソフトを創業した当時から、一度に2つ以上のことには取り組まないことを徹底していた。エレベーターでたまたまジョン・レノンと一緒になった時も、頭の中はソフトウェアのこと1つしかなく全く興味を示さななかったという話しは有名。
  • Adobeの上級プログラムマネージャーのスコット・アンターバーグは、「カフェイン地獄で神経過敏になって生産性を落とすなら、すこし休憩して頭をクリアにして仕事に戻る方がずっといい」と言ったそう。
  • 有名になった瞑想アプリ「Headspace」は、エマ・ワトソンが愛用者。

瞑想アプリは今回情報を追加する際に調べて初めて知りました。

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出典:Google Play 「Headspace – meditation」

使ったことがないので使用感はわかりませんが、評価が高い様子で気になりますね。

気になる方はこちらから見てみてください。

Headspace - meditation

Headspace – meditation
無料
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スポーツ選手が試合前に自己流で集中する姿はよくメディアでも取り上げられますが、すべてハイパフォーマンスのためで、メンタルトレーニングの手法として「マインドフルネス」が活用されているケースも多いのですね。

マインドフルネス瞑想の方法

何度も申し上げますが、マインドフルネスは「方法」ではなく「物事に意識的に向き合いましょう」という考え方です。

そして、その方法の1つとして広まったのが「マインドフルネス瞑想」ですが、

ではこれどのようにやるの?と疑問に思う方もいらっしゃると思います。

調べるとたくさん載っていますが、簡単ですので一番ベースになる方法をこちらでも紹介しましょう。

  • 背筋を伸ばしてイスに座る。足を肩幅に開き、肩の力を抜く。
  • 視線を斜め前に落とす、または目を閉じる。
  • 自然に呼吸し、注意を呼吸に向ける。(息を吸ったときに、お腹の皮が上がって、皮膚が少し引っ張られる感覚を感じる。吐いたときにそれが緩む感覚を感じる)
  • 注意がそれたことに気づいたら、何に注意がそれたのかをそっと心にメモして、注意をまた呼吸に戻す

最初のうちは、これを5~10分ほど繰り返しましょう。

何だかにそっくりですよね。

そうです、禅と一緒です。

でも正座する必要はなく、楽な姿勢で意識をコントロールする訓練と理解していただくと良いかと思います。

仕事をする前に、休憩後に、ご興味ある方は試してみてくださいね。

おわりに

いかがでしたでしょうか。

マインドフルネス瞑想を全面にお話ししてしまいましたが、繰り返すようにマインドフルネスの方法に形は存在しません。

例えば、移動中に音楽を聴いているときも、いつもよりも歌詞をしっかり聞き取ってみるとか、高音も低音も小さい音にも耳を澄ませてみるとか、そういう意識の向け方でいいのです。

ごはんも急いで食べないで味わってみてください。

いつもより美味しく感じられ、幸せな気分になるかもしれません。

それが、心が満たされた状態ですね。

きっと午後はハイパフォーマンスにつながるでしょう。

私自身、瞑想という手段にはいきつかないものの、マインドフルネスと出会ってから毎日の食事をきちんと味わうようになりました。

以前より「あ~おいしい~」と言える瞬間が増え、気持ちもそこでリセットされるようになりました。

半信半疑ながら、みなさんもぜひ!