昨年、2012年シーズン以来4年ぶりに流行したマイコプラズマ肺炎。

テレビや新聞などもメディアで見聞きすることが多いと思います。

感染症情報センターによる報告数は、昨年2016年9月以降急激に増えており、今後も流行が続くと予想されます。

そんなマイコプラズマ肺炎、そもそもどんな病気でどんな症状があって、予防・治療法はあるのか?

最新の流行情報とともにご紹介しましょう。

マイコプラズマ肺炎とは

マイコプラズマ肺炎とは、文字通り、マイコプラズマという細菌の感染による肺炎で、呼吸器疾患の一つです。

感染しやすい年齢は6歳~12歳の子ども。

潜伏期間は2~3週間。

感染したら最初は発熱、全身倦怠、頭痛などの症状があらわれます。

そのあと、3~5日ごろから乾いた咳が出始め、徐々にひどくなり、長いと1か月間続く場合があります。

咳・鼻水の症状がひどく出るのが特徴で、子どもは特にだんだんとゼロゼロと痰がからんだような湿った咳になることが多いです。

風邪の症状と似ていますが、咳の症状が頑固に続くのがこの感染症の怖いところで、中耳炎や無菌性髄膜炎、肝炎などの合併症に注意が必要です。

感染経路は飛沫感染と接触感染

感染経路は、感染者から咳やくしゃみによる飛沫感染と、皮膚の粘膜や唾液が物についた際、それを別の人が触って感染する接触感染の2種類があります。

ただ、感染力はそれほど高くなく、ゆっくりと感染するため、短時間で大流行するインフルエンザのような流行の仕方はない点は少し安心。

ちなみに、接触感染は、専門機関のサイトでも”濃厚な接触感染”と表現されるほど、べったりついたものにべったり触らないと感染しません。

予防方法はあるの?

マイコプラズマ肺炎はワクチンがありません。

流行時期には手洗い・うがいを念入りにして、感染者との接触を避けるのみです。

秋から冬にかけて、特に昨年2016年シーズンは流行が顕著だったので、「風邪かな」と思って病院に行った方も多いと思います。

でも実はマイコプラズマ肺炎だったという場合も少なくないはず。

そこで注意したいのが「院内感染」

院内感染は最も感染度が高い

病院の待合室が狭く、小児科が併設している場合、隔離室が適切に使われていない様子の小さなクリニックなどは、病院での感染が最も高い確率で感染するルートです。

病院に行く場合は、人にうつさないようにマスクを必ず着用し、院内では備え付けの殺菌剤を使うようにしましょう。

また、できるだけお互いの感染リスクを減らすために、順番待ちの予約システムを導入している病院では積極的に活用するようにしましょう。

2,016年のマイコプラズマ肺炎の流行状況

ここで昨シーズンのマイコプラズマ肺炎の流行情報をみてみましょう。

こちらは、国立感染症研究所でまとめている、各年のマイコプラズマ肺炎の報告数の推移です。

maiko

出典:国立感染症研究所

感染症の報告数の推移はしばしば「週」であらわされますが、これは「その年の1月からスタートして〇週」という意味。

グラフ中の一番左の点が第1週、つまり1月1日~1月7日までの報告数。

2016年は赤線で一番太い線です。

過去他の年と比較して、40週(10月1週目)の報告数がぴょーんと急激に増加しているのが読みとれると思います。

この推移から「今シーズン流行していて、冬にかけてさらに拡大する可能性がある」と予測するわけです。

過去に感染が拡大した2011年、2012年の推移を参考にすると、流行はしばらく増加または維持を続けると思われます。

なお、都道府県別の報告数では、上位3位はこちら。

  1. 岐阜県(5.80)
  2. 群馬県(3.13)
  3. 北海道(3.00)

この地域にお住まいの方は特に感染にご注意くださいね。

第40週(10月1日の週)の各感染症の報告数

また、こちらは補足になりますが、マイコプラズマ肺炎を含む、第40週(10月1日の週)の各感染症の報告数の比較グラフをご説明しましょう。

こちらのグラフは、過去5年間の同時期との比較ということで、簡単にいうと「過去と比べて今年どれだけ流行しているか」ということがわかります。

グラフ中の「定点あたり」というのは、全国の医療機関1つあたりの平均報告数という意味になります。

maikohei

出典:国立感染症研究所

グラフを見てわかることは

  • インフルエンザが1医療機関あたり約6名報告が増えている
  • 感染性胃腸炎は約2.5名増
  • ヘルパンギーナが約4名増
  • 流行性耳下腺炎も約4名増
  • 流行性結膜炎が約2名増
  • マイコプラズマ肺炎が約1.6名増

ということ。

昨年は各感染症が少しずつ流行拡大しているようです。

ただこちらはあくまでも全国統計になります。

感染の流行は地域差がとても大きいため、お住まいの地域の感染症情報を同じようにチェックすると予防情報として役に立ちますよ

マイコプラズマ肺炎の治療

マイコプラズマに効く薬はマクロライド系の抗生物質です。

マクロライドは副作用が少なく、子供から高齢の方までよく使われる薬剤です。

ただ市販薬はないため、「マイコプラズマか!?」と疑いを持ったら迷わず病院を受診し、処方してもらいましょう。

病院でよく処方されるのは

  • エリスロマイシン
  • リカマイシン
  • クラリス
  • クラリシッド
  • ジスロマック

です。

しかし最近、マクロライドの処方が増えてしまったばかりに、マクロライドの耐性がついたマイコプラズマが横行する事態に。

病院の方針によっては、次の治療方針としてMINO(ミノサイクリン)という薬剤を使用することになります。

ただMINOは副作用が強いため、医者が「効果がある」と判断した場合のみ使われるのが基本です。

治療方針については、日本マイコプラズマ学会が、2011・2012年の大流行をきっかけにガイドラインを作成しています。

もっと詳しく知りたいという方はご参考に。

マイコプラズマ肺炎に対する治療方針

おわりに

確定診断が簡単ではないマイコプラズマ肺炎。

「マイコプラズマだよ」とはっきりわかるまでには検査に時間がかかるケースが多いのが難点ではありますが、

合併症のリスク、症状がつらく頑固に長引くことより、可能な限り早く適切な治療を受けたいところです。

風邪かと思って放っておいてしまうことが多いかもしれませんが、咳が長引く場合・咳がひどくて眠れないほどといった方は早めに受診しましょう。

今回は、マイコプラズマ肺炎について、流行情報とともにご紹介しました。

感染症情報の難しそうに見えるグラフも簡単に読めることで、流行予測ができるということ、ご理解いただけたらうれしいです。

では。