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みなさんは日本の三大疾病をご存じですか?

三大疾病とは死因の多い順に上から3つのことで、日本では『がん』『心疾患』『脳血管疾患』のことを指します。

この3つでなんと全死因の6割近くを占めるほど。

そして、これから寒い冬を迎えるにあたり増えるのが「心疾患」。

心疾患の中でも特に多いのが「心筋梗塞」です。

突然発症し、若くして亡くなるケースもあるこの病気。

私の記憶に新しいのが、サッカーの元日本代表、松田直樹選手。

2011年、練習中に突然倒れ、救急搬送されたものの、そのまま34歳の若さで死去されました。

この時発症したのが「急性心筋梗塞」。

著名人でも中高年を中心に実は多くの方が発症しているのです。

今回は心筋梗塞について、どんな病気なのか・救急処置の方法・冬場の予防で注意したいことなどをご紹介します。

心筋梗塞とは

心筋梗塞とは、心臓に血液が流れなくなってしまう病気です。

血液の流れが止まってしまうと、血液が必要な機能の細胞が死んでしまい、そのことを「梗塞」と呼びます。

血液が流れなくなってしまうというのは、つまり、血液によって運ばれる酸素が取り込めなくなるということです。

心筋梗塞は急性期の病気で、発症すると直接命にかかわり、1分1秒を争う状態になるため、すぐに救急車を呼ばなくてはなりません。

ここで心臓の働きをおさらいしましょう。

心臓のはたらき

心臓は人の体のポンプの役割を担っていて、絶えず収縮と拡張を繰り返しています。

ポンプで全身に送るのは血液。

心臓は1分間に約70回拍動し、毎分約5~6ℓ(ペットボトル大約3本分)の血液を送りだしています。

ちなみに、人が一生の間に送り出す血液は、15万トンのタンカーで運べる量に相当します。

ドックン、ドックンとコツコツ細い血管に血液を送り出すとタンカーがいっぱいになるのです。

ポンプがどれだけタフなのかがわかりますよね。

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出典:出光HP

血中には食べることにより得た栄養や、息を吸って取り込んだ酸素などがたくさん含まれていて、心臓のポンプによって全身に運ばれます。

もしも心臓が止まったら、全身の機能が停止してしまうのです。

そして、一度血流が止まって死んでしまった心臓の細胞はほとんど再生しません。

さらに、心臓のポンプの機能が弱くなったり、心拍のリズムが乱れやすくなったりといった後遺症が残るケースも多いです。

心臓の機能を停止させてしまう心筋梗塞の恐ろしさが伝わりましたでしょうか。

ちなみに、よく耳にする「狭心症」は心筋梗塞の比較的軽症バージョン。

後遺症が残るほどのダメージはなく、胸の痛みや苦しみが15分ほど続く症状が特徴です。

2011年に天皇陛下が受けられた冠動脈バイパス手術は「狭心症」治療のためでした。

では、心筋梗塞の発症はどのような兆候があるのでしょうか。

心筋梗塞の発症のしかた

心臓に血液が流れなくなる原因の多くは「動脈硬化」です。

動脈硬化はいわゆる血管の老化。

滞ることなく血液を送る管の役割を担う血管も、年齢とともにだんだんと劣化していくのです。

劣化を早める原因には、食事が偏っていたり喫煙などもあげられますが、その影響で血管の中で血の塊である「血栓」ができます。

血栓によって血液が流れにくくなると、心臓は途端に血液不足になるのです。

心筋梗塞の発作は狭心症の症状である前触れがある場合と、急激にくる場合があります。

共通するのは激しい胸の痛み

胸の中央、または左胸部に鉛のかたまりをのせたような重苦しい強い痛みが特徴です。

焼けつくような激しい痛みが、肩や背中、首など広範囲に広がります。

狭心症と異なる点が、この痛みが30分以上長く続くのが特徴です。

この時点で、冷や汗や吐き気、呼吸困難を伴うことがあります。

では、心筋梗塞が起こったら・突然倒れた人を見たらどうすればいいのでしょうか。

心筋梗塞が起こったら

心筋梗塞は迅速な応急処置が生死をわけます。

自動車免許の講習会などで目にしたことがあるカーラーの救命曲線を思い出しましょう。

カーラーの救命曲線

カーラーの救命曲線とは、人が呼吸や心臓の停止、大量の出血などの緊急事態に置かれた場合の経過時間と死亡率の関係を示したものです。

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出典:釧路総合振興局「保険行政室」

こちらのグラフから、

  • 呼吸停止から約10分間放置されると助かる確率は50%
  • 心臓が停止した場合はたった3分間放置されると助かる確率は50%

ということが読み取れます。

大急ぎで救急車を呼んでも、到着するまでの平均は約6分といわれています。

救急車まかせでは助かる見込みがどんどんなくなりますので、いかに迅速に救命処置をするかがポイントになります。

救命救急の方法

応急処置マニュアルや講習会では、「意識確認」「呼吸確認」「気道確保」などから丁寧に書いてあります。

これは小難しく見えて「全部覚えて実行できるわけがない!」と思いがち。

でも一刻を争う事態では、基本的にやることは2つ。

  • 心臓マッサージ・人工呼吸
  • 応援を呼んで、AEDを探す・救急車を呼ぶ

呼吸をしていない人に対しては、この2つを早急に実行しましょう。

専門知識がなくても医師でなくても、どんな状態の人に対しても、呼吸が止まっていたらだれでもすぐにできる応急処置です。

AEDはどこにあるか?

救命処置に欠かせないのがAED

一刻を争う時に慌てないよう、だいたいこんなところに設置されていますよというのをご紹介します。

応援を頼んだ人に急いで探してきてもらいましょう。

  • 空港
  • フェリー
  • 新幹線
  • 学校
  • スポーツ施設
  • 市役所・図書館・公民館
  • 大規模な商業施設
  • マラソン大会・屋外プール・人が集まるイベント
  • アパート・マンション

救命処置をすると助かる確率は2倍以上変わります。

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出典:市民防災ラボ「発災・避難時の対処」

私も居合わせた経験はなく、きっと驚いて呆然とするかもしれません。

でも、人の生死を分けることになりますので、いろいろ考えるより先に救命処置に当たれるようにしようと思います。

発症は冬場に多い

厚生労働省発表の「人口動態統計の概況」によると、平成27年1年間の死因別死亡総数のうち、

  • 「急性心筋梗塞」は3万7,222人(男性2万1,137人・女性1万6,085人)
  • 「その他の虚血性心疾患」は3万4,451人(男性1万9,939人・女性1万4,512人)

でした。

また、心筋梗塞の発症は早朝に多く、また冬場に多いことが知られています。

国立循環器病研究センターの研究グループによる研究結果によると、10月から4月頃にかけて心筋梗塞の最重症型である心停止の発生が多いことが分かりました。

その理由の一つが、「寒冷期の血圧の上昇」です。

特に、暖かい室内から寒い屋外に出る時の血圧の急激な変動が「ヒートショック」と呼ばれるストレスを心臓にかけるのです。

室内でも、寒い脱衣場と暖かい浴室など温度差があるところは要注意。

では、それを踏まえ、冬場の心筋梗塞の予防法をご紹介します。

冬の心筋梗塞を防ぐための10箇条

これからますます寒い時期を迎えるにあたり、心筋梗塞の予防・防寒対策が重要です。

そこで、国立循環器病研究センターでは、「冬場に心筋梗塞を予防するための注意すべき10箇条」をまとめ、予防を呼び掛けています。

  • 冬場は脱衣室と浴室を暖かくしておく
  • 風呂の温度は38~40度と低めに設定。(熱い湯(42~43度)は血圧が高くなり危険です)
  • 入浴時間は短めに
  • 入浴前後にコップ一杯の水分を補給
  • 高齢者や心臓病の方が入浴中は、家族が声を掛けチェック
  • 入浴前にアルコールは飲まない
  • 収縮期血圧が180mmHg以上または拡張期血圧が110mmHg以上ある場合は入浴を控える
  • 早朝起床時はコップ一杯の水を補給する。(睡眠時の発汗で血液が濃縮しています)
  • 寒い野外に出る時は、防寒着・マフラー・帽子・手袋などを着用し、寒さを調整
  • タバコを吸う方は禁煙を

特に高齢の方や、喫煙・糖尿病・高脂血症・肥満等の方は心筋梗塞にかかるリスクが高いです。

リスクを減らす対策としては、禁煙・塩分を取りすぎない・バランスの良い食事といった生活習慣を整えることが大事です。

おわりに

突然発症すると、救急搬送されても多くが命を落とす可能性の高い心筋梗塞。

この病気は食生活が欧米化してきてリスク要因となる生活習慣病が増えてきた現代、特に問題となっています。

普段の生活習慣を整えることはもちろん、家族に高リスク者がいる場合などは、冬場は特に「ヒートショック」に気を付けるようにしましょう。

万が一の場合も、迅速な救命処置が命を左右します。

他人事とは思わず、これを機に少しでも理解が深まり知識が身につくとうれしいです。