食物アレルギーの基礎知識とおすすめのアレルギー対応食品について

近年「食物アレルギーの子どもが増えている」という話を耳にすることがあります。

実際に幼稚園や保育園、学校や病院などでもアレルギーに対応した給食を提供する場所は多いです。

また「アレルギーに対応」と書いてある食品もよく見かけるのではないでしょうか。

食物アレルギーを持つ方の増加は、日本国内のみではなく海外でも問題になっており、いろいろな形でアレルギーへの対応が行われています。

今回は食物アレルギーの基礎知識と、現在の「アレルギー対応食品」について説明します。

アレルギーとは免疫機能の働きが過剰になってしまった状態

まずは「アレルギー」とは何かについて、簡単に説明します。

人間の身体には「免疫機能」が備わっています。これは、身体の外から入りこんだ病原体などの有害な物質を排除するための機能です。

この免疫機能の働きが過剰になってしまった状態を「アレルギー」と呼びます。

本来であれば排除しなくてもいい物質に対しても、免疫機能が排除しようと反応してしまい、たとえば皮膚の炎症やじんましんなどの症状が現れてしまうのです。

今回のテーマは「食物アレルギー」ですが、このほかにも「花粉症」や「ハウスダスト」などもアレルギー反応のひとつです。

本来は無害である花粉や埃に対して免疫機能が過剰に働いてしまい、くしゃみや目のかゆみなどが引き起こされるのです。

日本人の中で食物アレルギーを持つ人数は、全人口の1~2%と考えられています。

ただし、乳児に限定すると割合は多くなり、約10%が何らかの食物アレルギーを持っていると言われているのです。

アナフィラキシーについて

食物アレルギーで気を付けないといけないのが「アナフィラキシー」という症状です。

発症後、ごく短い時間で全身にアレルギー症状が出る反応を「アナフィラキシー」と呼びます。

複数の臓器に影響が出るため、血圧の低下や意識障害などの症状を引き起こし、場合によっては命にもかかわるものです。

よく知られているのは、スズメバチの毒によるアナフィラキシーショックではないでしょうか。

二度刺されると危ない」と言われていますが、これは最初に刺された時に体内で作られた免疫システムが過剰に反応するために引き起こされるのです。

食物アレルギーでも、このアナフィラキシーを起こす危険があります。

毒蜂などに比べると、アレルギーの原因物質が消化・吸収されるまでに時間がかかるため、対処が間に合うケースが多いと言われていますが、それでも危険なことには変わりありません。

食品に含まれる主なアレルゲンと、事故防止のための食品表示法

アレルギーの原因物質を「アレルゲン」と呼びます。

アレルゲンには、たとえば「卵」や「落花生」などのごく一般的な食材も多いため、市販されている食品にも当然含まれています。

そこで、食物アレルギーやアナフィラキシーなどによる事故を予防するため、厚生労働省では「食品表示法」を定めています。

販売されている食品に、どのようなアレルギー物質が入っているかを表示しなければならないというルールです。

これは平成27年の4月から施行された比較的新しい法律ですが、それまでは

  • 食品衛生法
  • JAS法
  • 健康増進法

の3つの法律で定められていた「食品の表示に関する規定」を統合して整理したものになっています。

ただし、実際の表示は切り替えに5年間の猶予期間が設けられました。

そのため、2020年3月末までは、改正前と改正後の表示が混在しているので注意しましょう。

厚生労働省が指定するアレルギー表示

アレルゲンとなる物質のうち「食品表示法」で指定されたものは、合計で27種類です。

その中で、過去のデータから特に発症者数が多い・重症になりやすい7種類については「特定原材料」とされており、食品に含まれる場合には必ずパッケージに記載しなければいけません。

残りの20種類は「特定原材料に準ずるもの」として、表示が奨励されています。

【出典】【出アレルギー表示に関する情報|消費者庁

表示が義務付けられている7種類の原材料

  • 小麦
  • そば
  • 落花生
  • えび
  • かに

表示が奨励されている20種類の原材料

  • 肉類:牛肉、豚肉、鶏肉、ゼラチン
  • 魚介類:さば、さけ、いか、いくら、あわび
  • 野菜・果物:やまいも、オレンジ、キウイフルーツ、バナナ、もも、りんご、まつたけ
  • 豆・ナッツ:ごま、くるみ、大豆、カシューナッツ

アレルギー表示の見方

実際の商品では、どのように表示されているのでしょうか。アレルギー表示は、パッケージの「原材料」の欄を見るとわかるようになっています。

食品表示法では、アレルギー表示を「個別表示」することが原則となっています。

原材料の中にアレルゲンを含む場合は、たとえば「醤油(大豆・ 小麦を含む)」という風に、食材の名前のあとにカッコ書きで記されています。

【出典】独立行政法人環境再生保全機構

ただし、たとえば「大豆」を含む原材料が複数あるなどの場合は、最初の原材料にのみ記載し、あとのものは省略することが認められています。

【出典】独立行政法人環境再生保全機構

また、記載するスペースが少ないなどの理由で「一括表示」になっている場合があります。

この場合は、原材料の最後に「(一部に大豆・乳成分・小麦・牛 肉・卵を含む)」といった形で記されています。

【出典】独立行政法人環境再生保全機構

海外における食物アレルギー

食物アレルギーに関しては、日本だけではなく海外でも大きな問題です。

はっきりとしたデータはないのですが、工業化などの環境とアレルギーには、何らかの関係があると言われています。

最近話題になっているのが「グルテンフリー」という言葉です。

欧米やオーストラリアでは「グルテン不耐性」や、アレルギーではありませんが「セリアック病」が増えています。

これは小麦などに含まれる「グルテン」による免疫系の病気で、パンやパスタなどの小麦を中心にした食生活の海外においては大きな問題になりました。

グルテンを含まない食材を選んで食べる必要がありますので、これらが問題になっている海外では「グルテンフリー」の食材や料理が選びやすいように環境が整っています。

なお、グルテンフリーは「ダイエットに良い」「健康効果がある」と話題になっていますが、アレルギーやセリアック病を持たない方に対するグルテンフリー食のダイエットや健康効果については、明らかになっていません。

詳しいグルテンフリーについてはこちらの記事でも詳しく解説しております。

アレルギー対応食品の例

アレルギーを持つの方のために、さまざまな「アレルギー対応食品」が登場しています。

その中から、いくつかピックアップして紹介します。

ハウス食品のカレールーやシチュールーでは小麦粉や乳製品不使用

ハウス食品より発売されている「特定原材料7品目不使用シリーズ」は、アレルゲンのうち「卵、乳、小麦、そば、落花生、えび、かに」の7種類を使用していないカレーやシチューです。

普通のカレールーやシチュールーには、小麦粉や乳製品を使用しています。

そのため、小麦アレルギーや牛乳アレルギーを持つ方は食べることができません。

しかし「特定原材料7品目不使用シリーズ」ならば、家族で同じカレーやシチューを食べられるというわけです。

ハヤシライスソースもあります。

またハウス食品では下記のページにて、アレルギーの情報を公開しています。

キッコーマンでは醤油にえんどう豆を使用

ご存知の通り、醤油の原料は「大豆」。つまり大豆アレルギーのある方は、普通の醤油を使うことができません。

また、醤油の原料には「小麦」が使われることも多く、こちらもアレルギーのある方は食べられないのです。

そこでキッコーマンでは、大豆の代わりに「えんどう豆」を使用し、小麦も使わない「えんどうまめしょうゆ」を発売しています。

商品のアレルギー情報についても公開していますので、アレルギーのある方は事前に調べることができるというのも便利です。

東京オリンピックへ向けて盛り上がる「食のバリアフリー」

2020年の東京オリンピックへ向けた「食のバリアフリー」という考え方があります。

これはアレルギーだけではなく、そのほかの健康上、あるいは宗教上の理由で食べられないものに配慮した食事という意味です。

世界中から観光客が訪れるであろう東京オリンピックでは、多様なニーズに対応した食事が必要になります。

せっかく日本に来たのに、食べられるものを探すのが大変というのでは「おもてなし」の心にも反するでしょう。

たとえばコスモバイタル株式会社では、食物アレルギーだけではなく、宗教上理由、アスリートのドーピング対策などの事情に配慮した「バリアフリーパン」を開発しています。

食品表示法でアレルゲンとして指定されている27品目だけではなく、宗教上の理由で食べることができないアルコールや、ドーピング検査に触れる恐れがある漢方薬なども使用しないパンなので、幅広い理由に対応できるのが特徴です。

ハラール認証とは?

宗教上の理由に配慮した食事については、「ハラール認証」という言葉を聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれません。

「ハラール」とは、アラビア語で「許容」の意味です。

つまり、イスラム教の規則で食べることを許されていることを指します。

具体的には、たとえば豚肉やアルコールなどが禁忌とされているのはよく知られています。

しかし、牛肉などの禁忌とされていない肉であっても、餌や解体方法、配送方法などにも制限があるのです。

世界的にイスラム教徒の方は増加傾向にあり、2020年には世界人口のおよそ4分の1を占めるのではないかという予想もあります。

そのため、全世界から観光客が訪れる東京オリンピックに合わせて「ハラール認証」を取ろうという動きが活発になっています。

ちなみに、宗教上の理由がある方やベジタリアン、ビーガンの方でも安心して食べられる食品としては、日本の伝統の食材である「豆腐」があります。

遺伝子組み換えでない大豆を使った豆腐は「食のバリアフリー」の面でも再注目されている食材のひとつです。

まとめ

今回は、近年増加傾向にある「食物アレルギー」と「アレルギー対応食」そして「食のバリアフリー」について説明しました。

まとめると、以下のようになります。

  • 「アレルギー」とは、免疫機能の過剰反応によって起きる症状。急激で重篤な「アナフィラキシー」にも注意が必要です。
  • アレルギーの原因となる物質(アレルゲン)のうち、27種類が「食品表示法」によって指定されています。食品に含まれるアレルゲンは、原材料の表示を読むことで知ることができます。
  • 食品メーカーでは、アレルゲンを含まない「アレルギー対応食」を開発しています。
  • アレルギーだけではなく、そのほかの健康上・宗教上などの理由にも対応した「食のバリアフリー」も進んでいます。

今後も、アレルギーやそのほかの理由で「食べられないもの」がある方は増えていくことが予想されます。

誰もが安心して食べるものを選べるように、今後はますます「食のバリアフリー化」が進むことでしょう。

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