【保存版】肺炎はこれだけ怖い!初めての人が知っておくべき基本知識。

肺炎、若い方でしたら耳にしたことがある、高齢の方でしたら身近な病気としてご存じの方も多いでしょう。

肺炎は日本の死因の第3位。

免疫力が低下した状態の小さい子供やご高齢の方にとても多い感染症で、今後高齢者数がピークになるにあたっては死因のトップ2争いに食い込んでくる可能性もあるほど。

65歳以下の成人の方も、いずれ感染のリスクに直面する日が来るでしょう。

今回はそんな肺炎について、そもそもどんな病気なのか、予防法はあるのか?といったことと、統計情報をまとめました。

肺炎が怖い理由

日本の死因第3位

厚生労働省の人口動態統計によると、平成27年の死因別死亡数の割合は、

  • 悪性新生物(がん)
  • 心疾患
  • 肺炎
  • 脳血管疾患

とこのように、それまで脳血管疾患が第3位でしたが、2016年より肺炎が逆転し第3位となりました。

出典:厚生労働省 平成 28 年(2016)人口動態統計の年間推計

肺炎による死亡のほとんどが65歳以上の高齢者です。

だから、肺炎による死亡者数が増えることは、高齢者数がどんどん増えている今の状況においては至極普通のことでしょう。

出典:厚生労働省 平成 28 年(2016)人口動態統計の年間推計

肺炎予防のために、成人のワクチン接種や感染予防の手洗い・うがいなど、政府は働きかけをしていますが、肺炎の順位は今後また上がって心疾患を抜き去る可能性もあります。

肺炎が怖い3つの理由

このように、日本で死ぬケースの3番目に多い肺炎ですが、肺炎が怖いところは、

  • 子供から大人・高齢の方まで年齢関係なく発症するという点
  • 重症化したら一気に死が目前になる点
  • 感染していても気づきにくい点

でしょう。

実際に、肺炎が原因で亡くなるのは高齢の方がほとんどです。

でも、高齢者に限らず全年代の人に感染のリスクはあるのです。

特に乳幼児と高齢者は体の免疫力が強くないため感染しやすい。

だから、定期の予防接種を子供のうち、それから65歳以降に受けることが義務付けられているのです。

そして、肺炎の恐ろしいところは、風邪かなーと軽く構えていたら実は?!!!というケースが非常に多いこと。

つまり、感染していても発症していても風邪に近い症状なので気づかないことが多くて、処置が遅れてしまうことがあるのです。

もっとも、呼吸が苦しいとか胸の痛みが普通じゃないとかいう肺炎の重たい症状が出ていたら、悠長に風邪を疑うことなく「なんかおかしい」と病院へ駆け込むほど切羽詰まるとは思います。

が、そうなる前に気づいて重くなるまでに治療するということがとても難しいといいます。

そんなこわい肺炎ですが、この病気、治療法がちゃんとあります

適切な薬を飲めば確実に原因菌を除去できるわけです。

ではなぜ死因第3位になるのでしょうか?

現場ではこんな問題があるのです…

肺炎は治療できるのになぜ亡くなる方が多いのか?!というもの。

肺炎は治療できます、できますが、問題は、肺炎を度々起こすような高齢で免疫力がとても下がっている方は、他の病気も併発されているケースがとても多いということです。

だから、死因3位に浮上した肺炎は、どちらかというと「老衰」なのではないか?という議論が生まれています。

どちらにしても、肺炎をきっかけに死に至るケースが多いということですので、やはり肺炎は怖い病気というわけです。

もしも肺炎をきっかけに亡くなった方が身近にいたとしたら、

「いろいろ含めて老衰だった」

と思えるケースと

「予防できたかもしれない」

「早期に治療を始めていたら重症になる前に治せたかもしれない」

そんなふうに思えるケースもあると思います。

高齢者層での死亡率の高さ

すでに高齢者層が肺炎で死亡する割合が高いことはお話ししましたが、具体的に年齢別・原因別の死亡割合をご覧ください。

こちらは平成28年の統計です。

出典:厚生労働省政策統括官「平成30年わが国の人口動態」性・年齢階級別にみた主な死因の死亡数−平成28年−

真ん中のピンクが、死亡原因が肺炎である割合です。

男女とも10歳代・20歳代では、不慮の事故及び自殺が多く、30歳代は男性では自殺、女性ではがんが多いです。

40~ 80歳代では、男女ともにがんが多くなり、90歳代以降は心臓病・脳卒中・肺炎が多いことがわかると思います。

肺炎とは?知っておくべき基本情報

肺炎は、その名のとおり肺が炎症をおこす病気のこと。

細菌やウイルスなどの病原微生物が肺に入ってしまうことが原因で起こる感染症です。

肺炎の症状は風邪や気管支炎と似ています。

その違いは、炎症している場所でわかれてきます。

ふつうの風邪は「上気道」と呼ばれる、口から入って割と近場の炎症。

一方肺炎は、上気道の下の身体のコア部分である下気道の炎症

下気道は肺のほか気管支も含まれますので、気管支炎も似たような重たい症状であるケースが多いです。

出典:国立循環器研究センター「肺炎…予防・治療のポイント」

このように肺炎は、風邪と同様、病原微生物が原因で体内の一部に炎症を起こす点はいっしょです。

でも風邪の炎症部位とちがって、肺は人が生きるための酸素を取り入れる大事な機能。

ここに感染が起こるということなので、病状がより深刻になり、特に高齢者の場合は命に係わることも少なくありません

肺炎は大きくわけて3種類

「肺炎」と一口に呼びますが、その種類は実にさまざま。

繰り返しになりますが、肺に炎症が起こる病気が肺炎ということで、その種類は原因となる細菌やウイルスの種類によって呼び名が変わってくるのです。

お子さんがいるご家庭では夏ごろ「マイコプラズマ肺炎」なんてのが身近ではないでしょうか。

マイコプラズマ肺炎も肺炎の種類の1つで、マイコプラズマという細菌が肺に入って炎症を起こすもの。

肺炎の種類を大きく分けると3つ。

  • 細菌性肺炎:病原微生物のうち細菌に分類されるものが原因
  • 非定型型肺炎:非定型の病原微生物が原因
  • ウイルス性肺炎:病原微生物のうちウイルスに分類されるものが原因

そもそも、感染症と称される病気の原因は全て病原微生物です。

病原微生物は、大きく細菌・ウイルス・寄生虫と種類があって、それぞれの構造や機能なんかで分類されます。

詳しくは感染症の分類についてまとめた記事もご参考に。

さてでは肺炎の3つの種類について。

細菌性肺炎は、細菌が肺の炎症の原因であるもの。

成人肺炎治療ガイドラインによると、肺炎の病原微生物のうちトップ2が細菌が原因で起こっているとのことです。

  • 肺炎球菌(26.4%)
  • インフルエンザ菌(18.5%)
  • マイコプラズマ・クラミドフィラなどの非定型菌(11.3%)

ここで、おや?!!と思われた方も多いかもしれません。

インフルエンザってウイルスではなくて細菌?!!!というところ。

答えは、ウイルスも菌もありますよというのが正解です。

ややこしいですよね。

インフルエンザの原因はインフルエンザウイルスですが、インフルエンザ菌というのは全く別の構造を持った細菌です。

昔、インフルエンザに係った人が二次感染し肺炎を起こしたのですが、その病原がなんだかわからなかったことがありました。

そこでその病原体につけられた名前が「インフルエンザ菌」。

後にインフルエンザウイルスとは関連がない細菌ということがわかったのですが、その名前だけが引き継がれる形として残ったのです。

こちらの写真は、うちの子の母子手帳の予防接種のページですが、「インフルエンザ菌b型(Hib)」と書いてありますよね。

本当にわかりにくく、インフルエンザのワクチンと混同してしまう方も多いのではないかと思いますが、これはあくまでもインフルエンザ予防のワクチンではなく、インフルエンザ菌が原因によるヒブ感染症予防のワクチンです。

この「Hib(ヒブ)」というのは「ヘモフィルスインフルエンザ菌b型(Haemophilus influenza type b)」の略称。

きっと病院では、「インフルエンザ菌」という名称を避けて、「ヒブのワクチン」と呼ぶことが多いと思います。

さてでは肺炎の種類のお話しに戻りますね。

肺炎は、肺炎球菌がもっとも多い病原で、次いでインフルエンザ菌、第3位はマイコプラズマとなっています。

このマイコプラズマは、分類上は「細菌」ではあるものの、普通の細菌とは構造が少し違って、「非定型」です。

わかりやすくいうと、細菌とウイルスの中間の構造をしているものの、どちらかというと細菌に近いといったところでしょうか。

この非定型型に分類されるものが、このようなもの。

  • マイコプラズマ
  • クラミジア
  • レジオネラ
  • 百日咳

よく耳にする感染症だと思いますが、これらの病原微生物も肺炎を起こす原因になるのです。

そして、ウイルス性のもの。

  • インフルエンザウイルス
  • 水痘ウイルス
  • 麻疹ウイルス

これらがウイルス性肺炎の代表です。

水痘や麻疹はウイルスだったのかと知る方も多いかもしれませんね。

このように、肺炎には原因となる病原微生物がたくさんあります。

だから、そもそも病原微生物を身体に入れないように、つまり手洗い・うがいの徹底が基本の予防策になります。

そしてご想像いただいている方もいるかもしれませんが、最も多い肺炎球菌の予防接種をはじめインフルエンザや麻疹・水痘の予防接種によって、肺炎の原因となる病原微生物に感染するリスクを減らすことはとても有効な予防手段です。

肺炎の代表的な7つの症状

肺炎の症状は実に風邪によく似ています。

軽症の時は専門医でも表面上の症状だけでは肺炎を診断するのは困難だといいます。

その代表的な症状がこちら。

  • 胸の痛み(普通に呼吸するだけで痛い)
  • 発熱が続く(熱が下がらない)
  • 悪寒
  • 呼吸困難(息が切れる・苦しい・呼吸数が細かく増える)
  • 咳(のどでなく胸の底のほうから出てくるかんじ)
  • 全身がだるくなる
  • 黄色~緑色や鉄さび色の淡
  • 顔や唇が紫色になる

ひどい風邪と似ているでしょう…?

実際、ひどい風邪と勘違いするケースが非常に多いということなので、油断しがちなのが死亡例を増やしている原因でもあるかもしれません。

実際、私の主人も若いころですが風邪から肺炎になったことがあったとのこと。

ものすごい胸の痛みで、咳もひどく苦しかった時期があったが、ただの風邪だと思って、疲れもたまってるし、風邪ごときで仕事に穴開けられないしってことで、そのまま気合でスルーして自然治癒。

でも後に「あの時のあれは肺炎だった」というのが発覚して青ざめたそうです。

その時もしも近くに子供や高齢の方がいたとしたら、感染させてしまったかもしれませんし、本人も体が弱かったら重症化して大変なことになっていたかもしれないのですからね。

もちろん、免疫力が強ければ自然治癒もしますよ。

それはどの病気においても一緒です。

ただ問題は、肺炎が感染症だということ

被害を広げてしまうかもしれない点をよく知っておかねばならないのです。

肺炎を起こしやすい人の特徴

どの感染症についてもですが、感染のリスクは免疫力の強さに反比例します。

免疫力が強ければ感染しにくいし、弱ければ感染しやすい、これは当然のことですよね。

そして免疫力が弱くなる原因には、

  • ストレス
  • 肉体的な疲れ
  • 寝不足
  • 栄養の偏り
  • 運動不足
  • 喫煙

こんなような生活習慣が密接にかかわっているほか、年齢や病気のせいでかかりやすいパターンもあります。

それがこちら。

  • 65歳以上
  • 心臓・呼吸器系・脳血管の病気がある(誤嚥しやすくなるため)
  • 糖尿病にかかっている
  • 肝硬変・慢性腎不全などの病気にかかっている
  • 免疫抑制剤・ステロイド剤を服用している
  • 脾臓を摘出したことがある

免疫獲得前の乳幼児もそうですが、やはり高齢の方のリスクが高いとされています。

肺炎を予防するための2つの方法

肺炎は感染症なので、感染させないための予防法があります。

  • そもそも感染しないようにする
  • または重症化を防ぐ

これに尽きますよね。

そもそも感染させないよう、感染のリスクを減らす医学的な方法としては、ご存じ予防接種があげられます。

肺炎球菌ワクチンの定期接種

肺炎予防のワクチンは、小児の時期と高齢期と、人生のうち2度、国の補助の元で受けるチャンスがあります

もちろん、希望する場合は自腹でそれ以外の時期にも受けることができます。

多くの場合、最初は生後2か月~半年の間に、あの予防接種だらけの時期に訳わからんうちに接種しているはず。

先にもお見せした母子手帳の「小児肺炎球菌」の欄の「プレベナー」ってワクチンです。

正確には、初回接種の月齢と年齢によって、子供の体重が変わることで接種の回数が違ってきます。

1回しか打っていない子も4回も打った子もいるわけです。

具体的なスケジュールがこちらです。

初回接種の月齢・年齢 接種回数 接種スケジュール
生後2か月~6か月 4回 1回目から4週以上の間隔で2回目(定期接種では13か月未満までに接種)
2回目から4週以上の間隔で3回目
3回目から60日以上の間隔をあけて生後12か月~15か月に4回目
生後7か月~11か月 3回 1回目から4週以上の間隔で2回目
2回目から60日以上の間隔をあけ、1歳代(生後12か月~15か月)で3回目
1歳 2回 1回目から60日以上の間隔で2回目
2~5歳 1回 1回のみ

1回で済むなら1回がいいじゃない、と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、

生後6か月を過ぎると、肺炎球菌が原因の病気が増えてくるため、できるだけ早いうちに済ませることがすすめられているのです。

成人用肺炎球菌ワクチン

出典:厚生労働省「肺炎球菌感染症(高齢者)」

はいそして、こちらがご存じない方も多い、でも国が啓発をすすめている成人用の肺炎球菌ワクチン

肺炎球菌のワクチンはその効果が5年といわれています。

高齢者の死因第3位ということもあり、65歳以上の方を対象に、定期接種を受けることができるようになりました。

平成26年、2014年からです。

また、厚生労働省によると、「60歳から65歳未満の心臓・腎臓・呼吸器の持病をお持ちで日常生活に制限のある方は定期接種の対象となることもあります。」とのことです。

対象者には、お住まいの自治体から対象の年齢に近づいた時にハガキや封書にて通知が来るようです。

出典:龍ヶ崎市議会 山宮るみ子ほっとメール 成人用肺炎球菌予防接種の再勧奨ハガキ

なお、この費用補助の対象になる年齢以外の方も、任意による接種が可能です。

先ほど自己負担が原則と申し上げましたが、自治体によっては費用を一部助成していることもあるため、受けておきたいと思う方はお住まいの自治体に聞いてみてくださいね。

ワクチンの効果

肺炎球菌のワクチンは、インフルエンザ同様、100%感染&発症を阻止するものではありません。

かかりにくく・かかったら重症化しにくくする、その認識が正しいです。

ただその予防効果はしっかりと研究によって確認されています。

熱帯医学研究所の研究グループは、平成23年から4年間にわたって、65歳以上の肺炎患者のデータを集めて分析しました。

その結果、

  • 23価肺炎球菌ワクチンは、23種類の血清型による肺炎球菌性肺炎を33.5%減少させる
  • また全肺炎球菌性肺炎を27.4%減少させる

ことを明らかにしました。

これはすごい数値で、たとえば日本の65歳以上の高齢者が全員予防接種を受けたとしましょう。

そうすると、肺炎感染が、年間約10万人も減る計算になるわけです。

これが実現するならば、人口構造の変化にも関わってきますし、これまで当然の推移をたどってきた、肺炎の病原微生物に関連する病気の発症も激減するはず。

医療政策という観点からみてもでかい山になるわけですので、今後も政府は他の予防政策に負けじと、成人用肺炎球菌ワクチンをグイグイと推し進めるのではないでしょうか。

ちなみに、平成26年度の成人用肺炎球菌ワクチンの接種率は38%、平成29年度は33%でした。

受けておいてデメリットはありません。

もちろん持病をお持ちの方は医師の判断にはなると思いますが、ご高齢の家族がいる方やご自身が対象年齢になられた方はぜひ受診してくださいね。

論文参考:Motoi Suzuki et al. Serotype-specific effectiveness of 23-valent pneumococcal polysaccharide vaccine against pneumococcal pneumonia in adults aged 65 years or older: a multicentre, prospective, test-negative design study, The Lancet Infectious Disease,Volume 17, No. 3, p313–321, March 2017

おわりに

肺炎はある意味身近で、耳慣れした病気かと思います。

でも実際かかると相当に痛い思いをするとのこと。

呼吸へ障害を起こすのだから当然ですが、、、ご高齢の方はもちろん、若い方でもかかることはあるとの認識は持っていただきたいなと思いました。

風邪っぽいけどちょっと辛すぎる…喘息かも?、気管支炎かも?そんな疑いがもたれるほど症状が長く続くようなら、病院に行きましょう。

まず、38度以上とはいわずとも、発熱が3日でおさまらないのは単なる風邪ではないことが多いです。

毎日警戒する必要はありませんが、感染予防は、ご本人が違和感を早々に判断できる知恵を持つことが大事だと私は思います。

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